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書評:「燃えよ剣」著者 司馬遼太郎【ネタバレあり】

実のところ30年も生きていて歴史作家の筆頭・司馬遼太郎の作品を読んだのはこの作品が初めてです。

 

 

 

出版されて50年以上も経っていますが、さすがの司馬遼太郎、素晴らしい物語性と熱量を持った作品です。この物語は新撰組を題材としていて、主に副長・土方歳三の生涯を小説として描いております。世の中には坂本龍馬など司馬遼太郎作品の主人公に憧れる中年おじさんたちが多いですが、司馬遼太郎の筆力を持って描かれた坂本龍馬であれば、そういう人達が増えても致し方ないと思えるほどです。

 

上巻の読み始めは、イマイチ好きになれない文体とストーリーだなあと思い集中できませんでしたが、上巻の後半〜下巻にかけては圧倒的な展開と熱さで引き込まれました。

 

実のところ明治維新というものがそんなに好きではなく、そういった類いの小説などは避けてきたところがあるのですが、「燃えよ剣」面白おかしく新撰組について書かれており、時代背景もかなりわかりやすいため、初心者向けの歴史紹介として極めてすぐれております。

 

これなら司馬遼太郎の他の維新・幕末物語も読んでいいかなと思いましたね。ちなみに本書に出てくる土方歳三の恋人であるお雪は司馬遼太郎の創作のようです。今の漫画作品なんかでもよく採用される新撰組ですが、近藤勇沖田総司などのキャラクターは完全に「燃えよ剣」の影響を受けていると思われるものがたくさんありました。

 

司馬遼太郎は資料の読み込みが圧倒的だったそうなので、史実に近いとも言えるかもしれませんが、その一方で司馬史観とも呼ばれ、史実と同一視しないほうがいいとの評もあります。

 

いずれにせよ彼の作り上げたキャラクターは後世の人々の認識に多大な影響を与えていることは間違いないでしょう。

 

新撰組の中で、土方歳三を男らしい生き方として描く傍ら、近藤勇などは少々俗物っぽい人物として表現がなされております。沖田総司は今の漫画にも出てきそうなおっとりとしてクールな天才として登場し、徳川慶喜などは現代においてあまり評価されていない将軍としての行動を日本の歴史から読み解いてフォローしております。

 

豆知識も含めて、かなり魅力的な作品に仕上がっており、日本のおじさんたちの保守的な態度を硬化させたんじゃないかと思います。今のフェミニズムとは相いいれないぐらいの少年っぽさがあり、超絶男児の夢物語な側面があります。

 

久々に忘れていた少年心をくすぐる作品となっており、天下国家を論じたがるおじさんの仲間入りをしそうになるほどの魅惑が「燃えよ剣」にはあります。

 

もう数年前に会社勤めをしていた頃、そこのデザイナーがこの本を読んで随分憧れた、というようなことを言っていたことを思い出しました。

 

王道の男のストーリーは乾いた心に沁みてしまいました。

 

司馬遼太郎未読の方は読んでみてもいいんじゃないかと思います。