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「マネー・ショート」:映画レビュー【ネタバレあり】

少し前にブラピ主演の「マネーボール」を見てレビューしましたが、同じ作者が原作を書いている「マネー・ショート」をNetflixで鑑賞しました。

 

世紀の空売り―世界経済の破綻に賭けた男たち (文春文庫)
 

 現代は「The Big Short」でデカい空売りのことなのですが、映画のタイトルをマネーショートとしたことを批判するようなレビューがちらほらありました。

僕としては、意外といいんじゃないかと思ってます。ショートを空売りとわかっている人はすごく少ない。だけど機械がショートするみたいな使い方をたまにするので、ぶっ壊れる的なニュアンスが出ているんじゃないか。なのでマネーがショートするっていうのは破滅的な金融業界を匂わせるので、わかりやすいかなって思いましたね。

 

2007-2008年のリーマン・ショック時期の金融業界とそこで、住宅バブルを予期して空売りを仕掛けた幾つかの金融マン達の姿を描きます。

 

サブプライムローンというほぼノー審査で住宅を建てることができた取引で、当時のアメリカは住宅バブルに沸いておりました。完全に日本の80年代末とタブりますが、似たようなもんでしょう。誰もが家買ってしばらくしたら転売するという状態になっていましたが、その状態は長くないだろうといち早く気づいたマイケルは、CDSという保険のような金融商品を何億ドルという額で買い始めます。

 

CDSはバブルが弾けて損失を出したら、銀行がお金を出してくれる商品。その分年間通して保険料のように手数料を払わなければなりません。もちろんCDSを購入した分だけ手数料は高いわけで、何も起こらなければ掛け捨てのように手数料分だけ損します。

 

当時の住宅バブルをバブルだと認識していなかった金融マン達がほとんどだったので、イカれたおかしな連中だと思われておりましたが果たして。有名な歴史の一幕なので大体オチは読めるかと思います。

 

この映画の魅力はCDSやらサブプライムやらを視覚的にわかりやすい形で説明していてオシャレというところです。僕はこの手のインテリ業界の内情が好きなので、それをテンポよく見せてくれるのはありがたい。

 

それに最終的に空売りに成功した金融業界にいる人々が風変わりな連中ばかりで、人と違うことで儲ける人は変人なんだなあって思いました。

 

数字がら冷静に分析を行い、一番始めにバブルに気づいたマイケルが一番儲け、彼が大量にCDSを購入したという情報を元に連鎖的に、そこの賭けた人たちがそれなりに儲けるという現実も中々いいですね。

 

金融会議など実際に起こったことを、劇中でこれは本当の話だみたいにキャラクター達が説明するのもおちゃめで良い。

 

金融業界連中の傲慢さと、巻沿いをくって家を失っていく貧困層の理不尽さが対照的でちょっと虚しい気分にもなります。

 

600万人もの人々を巻き込んだ不祥事は結局、平凡な庶民が敗北したという帰結。金融マンで運悪く逮捕された人物が1名だけというのも象徴的です。

 

僕はこの手の悲劇を軽やかに説明する映画が大好きです。

 

8.5点/10点