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書評:「実践行動経済学」著者 リチャード・セイラー、キャス・サンスティーン  訳 遠藤真美

 今年のノーベル経済学賞を取得した二人の経済学者の2009年に出していた本です。

実践 行動経済学

実践 行動経済学

 
実践 行動経済学

実践 行動経済学

 

 

僕はKindleで読みました。行動経済学は半ばバズワードになりつつありますが、せっかくのビッグウェーブなので乗ってみた。

 

原題でもあり最も重要な考え方である「Nudge」

ナッジとは何かの行動を促すということ。

 

どうすれば人々に行動させるか。法だとか命令だとかでもなく、自然に行動を促すための方法論がこの本には書かれております。

 

かなり有名なのは「男性トイレの小便器に書いたハエの絵」の例だろう。

男性のトイレの小便器にハエを書くだけで、男性達が小便をする時にそこに狙いを定めるようになる。男性はよく小便をこぼすが、ハエの絵を狙うようになることでトイレの汚れが劇的に減ったそうな。

 

本書はこのように法令に定めることなく、人々により良い行動をさせるナッジ効果の素晴らしさについて雄弁に語る。

 

この本の素晴らしさはそこだけにとどまらない。人々は選択肢がありすぎると、めんどくさがって選択しなくなるという状態に注目し「デフォルト」というものの重要性などについても書かれている。

 

例えば年金・保険の支払いパターンが多く、どれが得をするかが中々理解しにくいような仕組みがある。そんな時、何もしなければ自動的に選ばれる「デフォルトの選択肢」があることにより、人々が損をしないように促すことができる。

 

これはコンピューターのアップデートの時間なんかにも使われている。何もしなければ夜中にセキュリティアップデートされたりすることは人々におなじみである。

 

選択肢はあればあるほどよく、人々は選ぶ権利があると主張するリバタリアン達の欠点を指摘、何もかもが自由であることが必ずしも人々の得にはならないと言う。

 

本書では「エコノ」「ヒューマン」という全く違う性質の存在を対比させ、我々の不完全さを示す。エコノは何もかも正確な選択肢を選べる能力を持った存在、ヒューマンとは我々のように必ずしも効率だけで生きられない人々のことだ。

 

エコノである場合は選択肢はあるだけあれば良い。ところがありとあらゆる場面で最も合理的な選択を取れない我々にはよりよい「ナッジ」が必要だ。

 

 

本書はまさに人間の欠点をクリアにしつつ、それでも良い選択肢を選び個人の人生も社会も経済も豊かにできることを主張する。

 

我々が知らない間に「ナッジ」されていることも理解できるだろう。

2010年代必読の一冊である。