ロンドンで留学して良かったことの一つに、色んな国の人たちと話せることがある。
はてブで時折、日本終了エントリが見れるけど、はっきりと言えるのは世界的に終わってる感が半端ないということだ。
日本は少子高齢だから、人口減少だから投資の価値がないからみたいなことを強調されるけど、色んな国の人達が似たようなことを考えてて、それで自分だけでも助かろうと英語を勉強しにロンドンくんだりまで来ているわけだ。
仲良くなった台湾の女の子は日本の現在の経済力についてすごく評価していた。
それに比べて台湾はダメみたいなことを自虐的に言うのだ。
彼女は特に今の総統は頭が悪いという評価をしている。僕はシャープの買収なんかを見て台湾は上り調子、一人当たりのGDPもアゲアゲだと思っていた。
なので鴻海みたいな会社があるじゃないか、と言うと
鴻海はすごいしリスペクトするけど、工場は全部大陸にあるから、とやや悲しそうにいうではないか。彼女からすれば日本は経済が強力で超リスペクト対象になっている。
しかも過去の日本ではなく、まさに今の日本に対して憧憬があるのだ。
もっと悲惨なのはベネズエラから来ている生徒だろう。
彼は内紛から逃げるようにロンドンにやってきて働きながら勉強している。いつまでロンドンにいるかはわからないけど、今のところ戻らないらしい。
そろそろ終わりどころか、国家の形としては終わったと言ってもいいような状態になっているのがベネズエラだ。彼は自分の国が好きだけど、今はどうにもならないと言っている。
他にもトルコから来た中年男性は、大統領がイディオットすぎて今のトルコでずっと働きたいと思わないからロンドンで仕事を探しているという。
ロンドンでもホームレスだらけで、テリーザメイは学校の先生からも非難されている。コービン旋風が巻き起こっていて、少しばかり政治家に希望があるだけマシかもしれないが、Uberに対する風当たりなんかから資本家憎悪はまだまだ続きそうだ。
ロンドンのブルーカラー達はかなりしんどい思いをしているだろう。
ホームレスもやたら多いし。
フランスの女性も、ロンドンで仕事を探すけれどBrexitでどうなるか不安だと言う。フランスだとマーケティングの仕事は飽和状態でイギリスで働きたいとも。
移民たちが子供をバンバン産んで、たくさんのお金を税金からもらっていることにも批判的だった。(彼女は独身だ)
明らかに楽観的なのはドバイやサウジから来た連中だ。悲観のひの字も出てこない。彼らはロンドンライフを楽しんでいる。
タイやスリランカから来ている金持ち生徒達はそういった政治的な話はしない。週末になったらヨーロッパ旅行に出ていって楽しんでいる。
僕が思うに、国家が終わっていると思うのは個人の環境によるのだろう。
テロまみれと思われがちな中東でも産油国の連中は随分と満足しているっぽいし、少子化とは無縁のフランス人も移民問題に苛立っている感がある。
スペイン人やイタリア人は明るい連中が多い。ステレオタイプ通りで安心した。ロンドンに来るラテン系は大学生が多いからまだ希望に満ちている。だが彼らが国の政治体制を褒めることはない。
僕と仲良かったイタリアの女の子は国に戻って就職したが、残業だらけで給料も安いと言っていた。
そういうふうに見ると国が終わるのでなく、給料水準の低い人たちの未来が終わっているのだ。冷静になればそれも当然で、金持ちや勝ち組はいつの時代でもいる。
今の日本は中産階級がドンドン落ちぶれて、閉塞感がたまっているのだろう。そして冒頭の記事にもあるような粘り強い人たちも没落候補になっていて、その前に日本を出ていっている。
冒頭の記事の方は日本の形について語るが、おそらく相対的ポジションは今後も変わらないように思う。日本の科学技術が失われていくからといって、どの国が日本をはるかに追い越すとも言えないのだ。
あえて上げるならアメリカ、中国、ドイツだけだろう。
そして世界中の国々の人たちが自国の競争力を失っていると感じている。
逆に言えば米独中の3つの国に行くぐらいしか各国の有能な人達が満足するような環境は手に入らないだろうし、日本だけが特別絶望的とも言いきれない。
日本にいるとあまりに主観的になるが、祖国が終わっている、未来がないと感じているのはほとんどすべての国が同じではないだろうか。
日本終了の根本問題はもっと大きくて根深くて解決不可能だと僕は思う。