フロイドの狂気日記

時は流れ、曲も終わった。もっと何か言えたのに。

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本物のロンドン市民にとまどう

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僕がロンドンで住む場所は3つ目となる。

初めてのときはVictoria Line沿いのZone3 Tottenham Hale Stationの近く。

引っ越した後はJubliee LineのCanada Water Stationからバスで数駅行ったところ。

今はDistrict Lineのとある駅近くに住んでいる。

 

Tottenham Haleの近くに住んだ感想は、利便性が意外と良くて郊外のロンドン風景を楽しめる場所だったので悪くなかった。沼地が近くにあって、でかい平原が広がってたり長い川があったりしてのどかなところが良かった。Victoria Lineで当時の学校に乗り換えなしで行けたところも素晴らしかった。だが施設はイマイチというかキッチンが汚くて使う気がしなかった。イスラム系の黒人が多かったが特に治安が悪そうではなかった。

 

2つめのCanada Waterは比較的に白人が多い地域で、建物もキレイなアパート群が並んでいて、いかにもヨーロッパな街だった。川でヨットを並べてたり、遠くにCanary Warfという開発された銀行の街が見えるギャップもまた良かった。だが僕が住んでいたところは駅からちょっと離れていて学校からも遠くなった。それ以上にストレスになったのはフラットのwifiである。とにかく切れるクソwifiだった。それに床が薄いのか上の階の住人の足音がギシギシして地味にイライラした。

 

そして今回の場所を一言で言うなら「チャブ」である。

近くに大き目の川はなく、僕の周辺の建物は落書きだらけで汚く古い。駅前はイスラム系の露天がずらりと並んでいて、住人も黒人とイスラム系とインド系で8割ぐらいじゃなかというぐらいの人口だ。白人もCanada Waterで住んでいる層とは違った雰囲気でどこか汚いし、実際にホームレスみたいなガリガリで汚い男も見られた。

 

友人からは「どうしてそんなところに住んでいるんだ?危ないだろ」と言われた。

知らなかったが、僕が行こうとしている学校へ一本で行ける現実的な家賃の場所だったのだ。飛行機で風邪をひいて体調を崩している僕はどこに行こうという気もしないままNetfilixでFriendsを吹き替えなし英語字幕で見たりしていた。

 

時差ボケがちょうどよく、僕は朝の6時に目がさめたりする。ロンドンの店はたいてい10-11時ぐらいから開き始めるので何をするでもなく家にいた。腹が減ったのと、昨日買い忘れた枕とブランケットを買いに行こうと思い大きいモールがないか探した。昨晩はマットレスだけのベッドで寝たのだ。

 

近くに大きいSainsburyがあるのがわかったのでそこまで歩いていった。着いて店に入るとイオンみたいに1階が駐車場になっていて、入り口は奥にあるというタイプだった。僕は間違って車専用レーンに入ってしまい、引き返そうと後ろを向いたところ、上半身裸の黒人の若者が乗っている自転車にぶつかりそうになった。

 

黒人は僕に何かを叫んだ。Fuck me out , well comeと聞こえた。黒人は自転車を停めもせず店内のATMの前までいってお金をおろし始めた。その間ずっと僕の方を睨むように見ていて僕は恐怖を感じて急いで店内に入った。

 

さっきの若者はなんと言ったのだろうかと考えた。昔英語の授業でwatch me outでどこ見ているんだみたいな意味があると聞いたことを思い出した。多分彼もそういったのだろう。後半部分は予想もつかないがキレられたことだけは確かだ。SainsburyはどこにでもあってCanada Waterで住んでいたときも利用していたが、ここの客層はどこか貧しそうだった。20ポンドで枕とブランケットを買った僕はそそくさとフラットに戻った。

 

SainsburyでReady mealというチンするだけで食べれるものを買ったので、キッチンに電子レンジを使いに行った。そこに白人の女性がいて料理をしていた。

僕はこういうのが苦手だ。そういう時に流れる沈黙や軽い会話が嫌だ。それはあまりいい傾向でない。こちらが何も言わなくても話しかけてきた。軽妙な語り口だったのでロンドナーかな、と思った。彼女は僕の出身を聞いて、僕は日本だと答えた。

 

彼女はブロンドで太っておらず、手際よく料理をしていた。オックスフォードを卒業してインターンをしているそうだ。僕はその発言を聞いて外人っぽいリアクションをした。彼女は笑った。どの仕事かを聞いた。銀行だそうだ。オックスフォードを卒業してロンドンの金融街CITYで働くブロンド美人だ。そういう人種がこんなフラットにいるというのも不思議だ。だがこれもまたロンドン。

 

 

食事をした後に昼寝してしまった。起きたのは15時だ。今から美術館にいくのは間に合わないだろうな、と思った僕は近くを散歩することにした。公園がたくさんあるところがロンドンのいいところだ。いくら貧困の街でも割とでかい公園があるが、やはりクオリティが低かった。大通りではなく細い道を通るとよくわかるが、落書きがひたすら多い。この多さは珍しい。公園を通り大通りにでると大学があった。そして大学の近いところはまあまあ良い建物と雰囲気のいいショップが並んでいた。

 

ああ格差。少しの距離で感じられる格差。大学の周りの地域はCCTVという監視カメラがありそれを警告している看板がいたるところにある。だから落書きも少ない。だがそこから数100m離れると建物はボロく落書きが増えて、インド人やアラブ系が店番をしている小さな店が立ち並ぶ。

 

帰る途中に郊外型のモールの駐車場の草むらに女性が座っているのを見つけた。18時になっていたので日曜のモールはすべて閉まっている。彼女はガリガリの中年女性で、震える手でタバコを吸っていた。ただのタバコなら草むらの端っこで隠れるように吸うのではなく、そのへんのベンチで吸えばいい。だが彼女の雰囲気から察するにただのタバコではないだろう。彼女はブロックに座りうなだれて震えていた。

 

明るくコミュ力高いオックスフォードの才女と、上半身ハダカで店の中に自転車で入る黒人、草むらで震えながら怪しいタバコを吸うやせ細った中年女性。

 

さまざまなロンドン市民を目にできた一日だった。

そして日本以上の格差社会を理解したのだ。

 

August 5 London

 

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