フロイドの狂気日記

時は流れ、曲も終わった。もっと何か言えたのに。

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貿易戦争でアメリカは中国に絶対に譲歩しない。英国の歴史を見ればわかる。

歴史を見れば明らかである。


アメリカ以前の覇権国家とは大英帝国
イギリスだ。


なぜ400年の間世界の頂点に居座り続けた英国がアメリカに覇権の座を渡したのか?


直接的な原因は二つ。1900年代初頭の情勢だ。


1.ビスマルクが統一したドイツのプレゼンスが欧州内で破壊的になった
2.当時猛発展を遂げたアメリカに外交問題で相当譲歩した。

 


この二つは相互関係があり、まず統一ドイツがヨーロッパで強力になりすぎたためにアメリカとドイツの両者と対決することができないと考えた当時のイギリスはヨーロッパ情勢をより重視し、ドイツとは融和せずアメリカには外交問題の大部分を譲歩することとなった。


ベネズエラと英領ギアナとの国境紛争でアメリカはかの有名なモンロー宣言を振りかざし英国に譲歩を要求、イギリスのソールズベリー首相はパックスブリタニカの名にかけて認めないと突っぱねだ。強気の米国は実際に議会で対英戦争の備えを訴えた。


ロシアのレーニン英米戦争が起こるだろうと予想した。
これが外れた理由が1である。ドイツのカイザー(皇帝)は、イギリスが泥沼の戦争をしていた南アフリカボーア戦争さなかに、あからさまにボーア人の味方をする書簡を送ったのだ。それがイギリス世論にドイツの脅威を印象付けた。


そしてソールズベリーは我慢のならないヤンキー的な「モンロー宣言」を受け入れた。
ドイツの脅威がある中で対米戦争はできないだろうという判断だ。
この一つ目の譲歩がその後アメリカに対して英国政治は極端に融和的になっていくことになる。


英国の不安通り第一次世界大戦でドイツと戦うはめになったが、外交譲歩の割にアメリカはほとんど支援しなかった。
ドイツが無制限潜水艦作成を実行するという大暴挙に出たため、1917年にようやくアメリカが参戦した。
だが時すでに遅し。


アメリカ参戦までに英国が第一次世界大戦を戦うための戦費の対米債務が増えすぎた」
これが英国の覇権の終焉の最後のイベントだったというわけだ。


その後は国際政治でプレゼンスを発揮できなくなるどころか、あわやナチスに滅ぼされるかというところまで追い詰められたのは歴史の知るところである。


そんなわけで英国から米国への覇権移譲のおおざっぱな経緯である。
一つの疑問がある。そしてその疑問の答えが米中貿易戦争の行方の解答となる。


なぜ世界最強だったイギリスは発展前のアメリカを叩き潰さなかったのか?


イギリス史に残る名宰相パーマストンは1858年にこう語る。
「イギリスの優位をおびやかすのはロシア、フランス、アメリカだが、最も危険なのはアメリカだ。」
パーマンストンは圧倒的な先見性のある人物だった。


1841年に外務大臣だったパーマストンは「パックスブリタニカのハイライト」とも言えるべき外交をやってのける。
当時のイギリスはアメリカ、中国、ロシア、フランスと同時に敵対関係となっていた。


エジプトとオスマン・トルコの関係をめぐって露仏と戦争になる危機が訪れた(第二次東方危機)。
イギリスは恫喝によって二つの国を屈服させ、中国とはアヘン戦争で叩きのめして香港を取り、
カナダ国境問題で英米住民間の衝突ではアメリカの裁判所に介入、カナダ人(英国植民地人)を処刑にすると対米戦争が始まるぞと脅しをかけて解決した。
2つの開戦の可能性と1つの戦争を抱えてもなお、相手の要求を潰すことに成功したわけだが、それだけ1800年代半ばまでの英国は圧倒的力があった。その英国がアメリカをどうして放置したのだろうか。


1861年に英国宰相であったパーマストンはそのチャンスを得た。
アメリカの南北戦争である。


ここで介入すれば、アメリカを2分割以上に分ける可能性さえあった。
パーマストンは南軍側に立って支援することを考えていたが、英国世論はより人道的な北軍を支持していた。
だが世論以上にパーマストンは「ヨーロッパではありえない巨大陸軍兵力をあっという間に組織した北部(ユニオン)」を恐れた。最後のチャンスとなったアメリカ分断はこうして見送られた。そしてもはや英国はアメリカ大陸でアメリカを止めることはできないと悟った。もとはと言えばアメリカの独立戦争でイギリスが敗北したことが最大の失敗と言えるだろうが。

 


さて記事タイトルの米中貿易戦争に戻る。
日本人はトランプが強硬なのだと思っているかもしれないが、実のところはアメリカ議会も世論も強硬策を支持している。
少なくとも議会がなぜここで対中強硬派になったかというのは「なぜイギリスから覇権を奪えたか」という歴史に対する意識がアメリカにあるからだろう。そしてイギリスのした失敗をアメリカはしないだろう。


ここで完膚なきまで叩きのめさなければ、残念ながらアメリカの覇権は本当に終焉するかもしれない。
貿易で儲けた金や知的財産があれば中国がアメリカをその内超えるだろうことは十分ありえる。


GDPに関してはすでにアメリカが射程圏内に入っている。順調にいけば2029年から2032年ごろまでに米中逆転するらしい。


米中貿易戦争が深刻化している先月の記事でも2030年度の逆転予想がある。
中国、2030年までに米国抜き世界一の経済大国に-HSBC予測 - Bloomberg


だが去年に比べれば中国の経済成長を不安視する記事が目に付く。
どうなるかはわからないが、アメリカがイギリスの轍は踏まないだろう。


もしアメリカの敗北があるとすればもっと別の要素になるに違いない。