どのような人生を送ろうとも幸福を感じることが一番だ。
幸福度の高そうな人たちというのは、どうも安定したルーティン生活に満足している人らしい。
そういう人たちを見ると共通して「この街でやっていく」みたいな覚悟をナチュラルに持っている。
自分が住んでいる街が好きで、そこで友達を作り、そこで仕事をしてちょっとした楽しみを見出している。
僕だってそうでないわけではない。
だが圧倒的にないのが「この街でやっていく」という覚悟だ。
大阪という都市は他のどこい行く必要もないぐらいだいたいのことがそろっている。
世界を見渡してもこれ以上デカくて便利な都市があるわけではない。
せいぜいちょっとサービスの種類が増えるという程度なのだ。
東京のように、満員電車など逆に不便になることもある。
ないものを求めるなら田舎に行くしかないが、移住することがバカげていることはわかりきっている。
たまに温泉宿に行く程度でよいことはわかりきっている。
僕がいつも思っていることは「もっと違うとこに行きてえなあ」である。
それなりに豊かな暮らしをしながら、心ここにあらず。
こう思っている人は多分多い。だから異世界転生ものが流行るのだろう。
思えばドラクエやFFから最近のなろう小説まで、主人公たちは移動することを前提として生きている。
オーソドックスな設定でいえば、街ごとにイベントが発生して解決したら次の街に行くといったような。
いいなあと思う。常に新しい経験を求めて移動して、飽きたら麻薬が切れたジャンキーみたいに次の場所に行く。
だがゲームやアニメみたいに都合よく楽しいことばかりはリアルでは起きない。
いつもの電車、いつもの会社、同じ飯、同じ人々。年をとるたびにうんざりする。
家に帰ってもやることは、Netflixの垂れ流し。
休みになればいつもの友人たちに呼ばれて飲んでラウンジでカラオケする。
欲しいものは新型iPhone。歯の治療して銀歯を白の詰め物に変えるために大金を使う予定だ。
iPhoneがあればなんでもできる。
新型はすごいスペックだ。だがそれに見合ったこと何をしているというのか。
だいたいブラウジングがはてブかtwitterじゃないか。
なんだったらiPhone7を修理してバッテリー替えたら後2年はいける。
だが買うんだよ、新型を。買わないと買わないことにイライラするからだ。
家の掃除をして、いらない服もガジェットも全部捨てちまおう。
FF7のクラウド的な旅とか、FF15のあいつらとかみたいにロードムービーを演じよう。
そんなことを思っては食っちゃ寝て過ごす毎日だ。
最近のアニメは異世界に行くと拠点から動かないのが流行りっぽいけども。
そんな気分になってイギリスに行ったんだけど、帰ってきてからが大変だ。
仕事に戻っても上の空、貯金は目減りしてしばらくは倹約の日々
これでさらにイライラが募り、リフレッシュも元の木阿弥。
ゲームの主人公たちが終わらない旅を続けるように、ラスボス前になってなんとなくノスタルジーを感じたり、クリアをしたくなくなるように、クリア前のRPGの記事体験をするようなことになる。
終わらない旅を延々と続けない限りは、また日常に戻ることでより大きな喪失感に襲われる。
ぜいたくな悩みかね。
イギリスに行っても、ロンドンを中心とした場所に縛られたりするんだけどね。
目下の問題は金である。金がなければなかなかどうして外の世界に行くなんて無理だ。
金があれば海外で沈むこともできる。それがいい人生になるかどうかは別として。
人生のバランスはままならんものだねえ。