フロイドの狂気日記

時は流れ、曲も終わった。もっと何か言えたのに。

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ちょうどいいブスになりたまえ

 
 
芸人さんがちょうどいいブスのすすめっていう本を書いて、ドラマ化がかかったけど、ちょうどいいブスってなんやねん、と思った人たちにより炎上し、タイトルが変更されたということがあった。
 
著者の芸人の顔を見ると、これまた何とも言い難いお顔で、ブスではないような気もするが、美人ではないだろうなあ見たいな顔で、ちょうどいいブスとはよく言ったものだなあと感心した。
 
特に本人がそれに自覚的で、おそらくブスと言われたりして苦しんでいる人向けに生き方の指南をしようとしたのだろうけど、今のご時世では厳しかったようだ。
 
僕たちはどう生きるか、みたいなテーマ作品は古今東西多いけれど、21世紀ではできない生き方というのが出てきたように思う。
 
最近ではプリキュアに男の娘が出てきて、正式なプリキュアになったらしい。そういう生き方もいいんだよ、という善意の物語だ。はてブでも絶賛された。
 
LGBTQ、夫婦別姓、育児の平等負担、美魔女。先進国ではかつてはできなかった生き方をする権利を得た。しかしその過程で古臭い昭和の生き方はできなくなった。女は愛嬌をキーワードに男を立てる人生はダメ。ちょうどいいブスという生き方も、根底には男性への媚がある。これは女性の社会的自立の歴史の中で捨て去らねばならなかったものだ。それをこのご時世に謳えば袋叩きになるのはわかりきったことではないだろうか。
 
同性が好きでもいいじゃない、年を取っても美しくありたい、夫婦が一つの家制度なんて古臭い、とは言えても、「男に媚びれば幸せになれる」なんてことは言えない。
 
それで救われる人がいるかもしない、と芸人さんは思ったのだろう。実際にそれを実践している人なのだろう。
 
一方で男性の役割もおろそう、男社会で頑張らなくってもいいんだよ、っていう。だが女性に甘えていいとは言ってない。専業主夫を増やそうなんてこともない。
 
僕は思うんだ。昨今の風潮は勝ち組への盲従隷属を求めているんだよ。男社会で頑張らなくてもいい、ってのは理想的に見えるかもしれないが、頑張って地位を得た連中から延々と見下されるってことを意味するんだよ。男はもがき苦しんでも戦う姿を評価したりするからな。敗北者に対しても、それが戦いの昨日を経た姿なら敬意を払う。
 
金持も地位もなく挑戦もしなかった男を誰が救うのか。同性からは馬鹿にされ、異性から嫌われる。バカみたいな人生じゃねえか。
 
誰かがこんなことを言っていた。何もかも諦めて何も持たない男にエマワトソンは嫁に来るか、と。そういうことだ。エマワトソンに限らず誰も寄り付かねえよ。それはおそらく世間でもがき苦しむよりも苦しいことなんだ。だが戦う男には、たとえ敗北が決まっていても戦友ができる。
 
さて、ちょうどいいブスである。ブスに生まれてしまったが故、愛に恵まれぬ人生だったとして、媚て一時でも錯覚でも男に愛されたと思いたがることを誰が咎めるんだ。
 
勝ち組の戯言はよせ。
とても美人だったり、頭が良くて医者になれたり社長で成功したり、だったらまだ良い。だが特別頭の良くないブスで愛嬌も持たずに媚も売るなと言われれば、一体どのような暮らしが待っているというのか。(ちょうどいいブスになるぐらいなら愛されなくてもいいです、だぁ?なら無視すりゃええけえ。誰にも愛されず涙する人はいるけん)
 
この点について救いがないのだ。ブス女もキモくて金のないオジサン(KKO)も同じように胸を張れと言われても、いや、絶対惨めでしょ。
 
そんな中で愛嬌と媚で都合のいい感じになって、得られたものがあるよ、って伝えるだけで叩かれるとか、そりゃ、つれぇでしょ。
 
結局エマワトソン的世の中ってのは、無能でもなんでも人間はそれだけで価値があるっていう尊い主張なんだけど、無能ってのはだいたい一人で酒飲むときに己の惨めさを噛みしめて泣いちゃう個体なんだよな。だからいくら成功者が「媚なんて売るな、そうでなくても胸を張れ」っていうのは、何一つ望まず、誰にも迷惑をかけず、ただ消え去れって言っているのと等しい。だれも救ってくれねえんだもん。なんだったら彼、彼女ができる選択は古臭い消し去りたい忌まわしい手段しか残されておらず、そんなクソみたいなことを復活させるぐらいだったら、ありのままの姿を強制して抹殺しようってわけよ。
 
男に媚びへつらって分け前を与えてもらうとして、それでも一人で涙するよりはマシな人生だってんならそうさせてやれよ。KKOなんて媚びてもキメェだけだからな。
 
昔、すっごいブスで太っている女性が何人もの真面目なオッサンを手籠めにして殺して保険金を受け取っていた犯罪があって死刑判決になったんだけど、ブス女の希望だなあと思った。獄中結婚までしてるそうな。それができるって媚スキルマックスで相手を見極めるスキルもマックスで、男の美醜判定をすり抜けるほどの精神性を相手に幻覚させるほどのイザナミなわけよ。それってもはや無能力者ではないけど世間が理想とする高学歴女子でも美魔女でもない。そういう人を目指すってのは一人で泣くよりも輝いている気がする。スキル不足だとただの都合のいい女なんだろうけども。木嶋佳苗が騙した男はきっと真面目で彼女にほれ込んで、しかも見た目でなく精神に惚れて、それで生命保険の受取人にしちゃうような、ちょっとダメだけど悪い男たちじゃなかったんだと思う。スキルマックスになればただの都合のいい女扱いではなくなるんだからすげえよ。死刑囚だけど。
 
KKOについていうなれば、ハーマイオニーが男の社会から降りなさいって言っても降りちゃダメなんだな。もがき苦しんで、馬鹿みたいに何かにチャレンジして成功しようと奮闘して、同世代の男から「あいつバカだけど頑張っているよな」って思われながら、死ぬまで生きる。これにつきる。
 
能力でのし上がった勝ち組や、「普通にしてれば普通のものが手に入る人たち」には、そういう生き方は迷惑なんだな。ちょうどいいブスをプッシュされると、自分たちにまでその思想の悪影響が及ぶって。KKOが頑張ってコミットにしようとかおこがましいってよう。「こっちにまで迷惑かかるでしょ?」ってうるせーバカ。愛と引き換えに尊厳を捨てるのも個人の自由じゃねえか。見苦しく戦うのもやっぱり個人の自由だ。最初から持っている尊厳ってやつは、何かを手に入れるには役に立たない。そして何一つ手に入れられないのは尊厳がないのと同じなんだ。法的には、哲学的にはそうでないってだけで。尊厳がないのと変わりない。
 
世間の風潮に騙されちゃだめだ、そのやり方は古いとしても間違いじゃない。だから何の能力もルックスもない女性はちょうどいいブスになって幸せを見つけてくれよな!