フロイドの狂気日記

時は流れ、曲も終わった。もっと何か言えたのに。

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底辺IT企業からどうやって抜けだしたんだっけ

底辺IT企業は『書けない』プログラマとどう向き合ってきたか - megamouthの葬列

お前は絶望的にプログラミングに向いてないから諦めて刺身にタンポポ乗せる仕事でもやってろ|古都こと|note

 

ああ懐かしい感じだな、と思って読んだ。

 

僕はプログラマのキャリアを、ワンマン社長の10人程度の零細企業に正社員として入り、OJTという名目で所属会社としてはタダ同然でド底辺のIT企業に放り込まれたところから始まった。

 

文字通りなーーんにも知らない僕に対して現場のPMや、ちょっと学ぶのが早いプログラマまでイライラしていたんだろうな、という記憶はある。最初の契約先は自作のPCさえ社内で使うようなクソ企業だったが、そこで3ヶ月ほどで音を上げて社長に辞めますと宣言したことがあった。本来ならそこでキャリアは終わっていたはずだった。

 

当時の僕を雇った社長はザ・昭和な男で、一度は泊まり込みがあったような現場に行かせてしまったことを率直に僕に謝罪し、同社の先輩がいる現場でヌクヌクと時間をかけて育てようとしてくれた。「ゴマメ」扱いである。ワンマンだけど情に厚かった。

 

ところが3年ほどしても僕のプログラミング能力というのは一向に上がらないというか、僕はその時もサボりグセがあり、限界までサボるというチャレンジをした結果、あまり能力が上がらず、タダ飯食らい同然になり、ワンマンだが情に厚い社長をしても、「今後は能力のある中途採用しかしない」と決意せしめたほどだった。

 

3年でその会社から去らざるを得なかったのはリーマンショックのおかげでもあるが、社長なら恐らく僕をかばえたと思う。だが社長はタオルを投げて暗に「他の仕事をしろ」というメッセージを僕に送った。

 

そういえばバラバラに働く社員達の月に一度の顔合わせ飲み会では「体もデカイしドカチン(土方)やればいい」というようなことを言っていた。やっぱりおめえ向いてねえわ、ていうのを堂々と言っていたわけで、僕も気づいていたがそんなのに一喜一憂しても仕方ないし土方やりたくないので「はぇー、そっすかねえ」みたいな顔をしていたら「おまえは馬鹿だ」と平然と言い放たれた記憶が出てきて、これを書きながらちょっと笑えてきた。

 

「底辺IT企業からどうやって抜け出したか」というのに対しての回答は一つしかなく、要するに忍耐力でどうにかなっただけの話だ。最初の3年はチュートリアルと呼べるぐらいスキルが身につかなかったし、半年ぐらいのブランク明けの2社目(1年半くらい在籍)でもどうしようもないぐらい呆れられて、最後の出社日には一番苦労をかけた上司が挨拶をせず目も合わせてくれないぐらいに怒りを買った。

 

僕が使えないなりにようやく仕事ができるようになったのが3社目の途中頃だろうか。そこでも部長から「あ、こいつはちょっと微妙だな」と思われるぐらいではあったが収益にはなったし最終的にはそれなりにグラップラーとして完成された。

 

僕がコピペやググりスキルを身に着けて、上から何も言われない人間になるために実に5年ほどの歳月が必要だったのだ。そしてそういう人間になるために必要なのは、会社をピボットしながら、そして馬鹿にされせせら笑われることにキレずにやっていける謎の忍耐力があったからなんだろうな、と思う。

 

最初の5年のうち後半になるにつれてスキルがかなり伸びたことを思うと、中級者になるにはやはり長いランニングとストレッチが必要だったのだろう。僕は3社が苛つきながら育て上げたスキルで、その収穫となる収益をすべてフリーランスとして独り占めしている。特に最初の2社は完全に雇い損だったと思う。それにしてもグラップラーになるためには、飛騨山脈の崖を丸腰で転がり落ちるトレーニングが必要なのだ。

 

欧米ではコンピューターサイエンスの学位を取るところからスタートなので、大学で向き不向きのふるいにかけるわけだが、日本だと悲しいかな現場の人々や特に零細企業の管理職たちがもろにその役割を引き受けている。コンピューターサイエンスの学部でさえ半分くらいはコーディングを身に着けられなかったりするんだから結構人を選ぶのである。

 

振り返ると罵倒されたり、陰口を言われては伝わってきたりした気がするけど、生来の無神経と、鬱病耐性パッシブスキルがあったので電車に飛び込んだりせずにやっていけたと思う。だから確かに迂闊にオススメできない。

 

だとしてもグラップラープログラマに対して僕は悲観的じゃない。間違いなくグラップルを必要としている現場はあってキャリアの長さはそのまま強さにもなるので、それなりに食っていけるんじゃないかな、って楽観している。

 

他の分野で零細や中小に入る人たちが、半年間貯金だけでヨーロッパに旅行したり一ヶ月の休みをとったりすることはできないだろうし、そこまでの収入もないんじゃないかなあと思っている。フリーファイターのグラップラーだから、そういう生き方も選べた。

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地下闘技場にエントリーできるグラップラーなら割と幸せに、特に収入面でも良いし、収入を捨てれば長期休暇も可能だし戻れもするというジャンルなので適正があるなり、慣れるまで鬱にならずにやっていけるなら選んでいいのでなかろうかと思う。

 

多分そんな感じだ。

 

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