フロイドの狂気日記

時は流れ、曲も終わった。もっと何か言えたのに。

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コミュ障とPMと気怠い4月

4月から新しく開発の依頼を受けた。珍しく設計フェーズがガチガチに決まっている仕事だ。かといって大手企業ではない。3人でチームを組んで開発するいつも通りのPHP案件である。前回の案件の反省から設計段階から不可視の未定義を徹底して突っ込む覚悟で望んでいる。
 
決まっていない部分など存在しない。開発フェーズに入るまでにすべての確認を終わらせる。そんな意気込みでやっていると2日目から「頼りにりますね」と言われる。気分がいいじゃないか。だが最初が楽観的なのはいつだってそうだった。
 
PMは言う。「僕は最近、残業を月数時間しかしてませんよ。炎上は避けます」
 
頼りがいのある発言だ。果たしてそうかな。まあ社内製サービスをユーザーに売る会社だし、旧システムのリプレイスで、とにかく急いでいるというわけでもない。一見すればいい環境だ。だが僕は恐怖と警戒心に苛まされている。こんな都合のいいはずがない。きっと開発期間に入ったらひどい目にあうんだ。理不尽な仕様変更に苦しめられるんだ、と。
 
この数日というもの会議のたびに見えていないことを指摘できているし、曖昧な部分を質問すると同い年のPMがちゃんと考える。取り決める。いい調子だ。だがもうひとりのコミュニケーションに難があるメンバーの、説明が下手くそなメンバーは遅れ気味らしい。それに意外と機能が複雑な気がする。設計フェーズは大丈夫だとしても、開発は大変そうだ。今の僕がそう思う。この虫の知らせを信じるべきか。
 
3人チームのうちPMは、大抵の場合がそうであるようにデキる人だ。10年も会社を続けていれば世間的に恥じることのないPMの一人ぐらいは抱えられるものだ。だがプロジェクトの成否はNo2が握ると言ったのは、幽遊白書の蔵馬だったか。もうひとりは簡潔に言ってコミュ障だ。説明が下手くそそのもなのは長い間無職だったからだろうか。一つのことを問うと、親切心からか派生する別のことを、しかも分かりづらく説明する。とっちらかった解説で話をキチッと終わらせることができない。誰が見ても下手くそというのがわかる。そして順調な滑り出しの僕の隣で、PMがややイラつき気味のトーンで話している。大抵のPMがそうであるように、きちっとした説明ができるタイプがそのポジションにいる。いざという時に言い合いの一つぐらいするだろう。丁寧な人間に見えるがポジショニングを間違えると、というより使えない人間だと思われるときっと僕の営業にボロカス言うだろうな、ということが見えるかのようだ。
 
副官は恐らく足を引っ張るだろう。もしかしたらプログラミングが手早いタイプかもしれない。いや、そう願う。PMはすでに設計役としての彼に期待していないというか、能力の見劣りを感じており、やや強めに当たり始めている。僕はまいったな、と思いつつもどうしようもないことに不安を感じるのだ。
 
このメンバーで僕がストレスを感じずに、かつ定時退社をするには事前の下準備を抜かりなくするしかなさそうだ。普段のプロジェクトよりもサボり成分を抑えることで前倒しの設計を可能としている。隣で不穏な話をしているのが聞こえる。
 
「リモートのメンバーに設計書を頼むにあたって元になる資料を今週中にやっていただきたいのですが、このペースで大丈夫ですか。あまり遅いと逃げられてしまうし、そうなると困るのはこちらなんですよ」
 
PMは年上のメンバー相手だからか遠慮をしている言い回しだが、かすかな怒気を含んでいる。少し年上のコミュ障メンバーはしどろもどろになっている。
 
逃げられる?間に合わない?
 
大丈夫、プロジェクトの初期段階なのだから大丈夫。
そう思いながら僕は古いソースコードの解読とEXCELへと向き合うのだった。