フロイドの狂気日記

時は流れ、曲も終わった。もっと何か言えたのに。

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FFⅦの何がすごかったのか

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FFシリーズは好きだ。全部やったわけではないが、たくさんの作品をやってきた。1番を決めるならやはり7だ。これはゆずれない。7をクリアしたのは2回か3回だと思う。PS時代とPS4アーカイブで購入した。ごく最近にクリアしたので記憶はかなりはっきりしている。未だにリメイクの新映像が出ると世界規模でバズるし、最新のスマブラにもクラウドが出演していたりしてFFの顔となっている。クラウドさんはイメージと違って本編では糞陰キャなんだけども。

 

シナリオで言えばFF10の方が良かった気がするし、FF12の中東チックな世界観も負けてない。駄作と叩かれるがFF15の方が旅をしている牧歌的な空気感は素晴らしい。それでもFF7をプッシュする理由はやはりその当時の革新性にあてられたからかもしれない。しかしながらその後のFFに欠けているてFF7にあるものが、20年以上前の作品のファンを掴んで離さないのだ。

 

それを一言で表すなら「全部盛り」ということだ。

一つずつ紐解いていく。

 

■革新的なキャラクター設定と造形

まず際立ったキャラクター造形と性格だ。たとえばヒロインのティファは黒髪ロングの巨乳ミニスカであるが、性格は献身的で女の子っぽいという、いや、その設定はありなのか、カツ丼をフレンチアレンジして刺し身もつけましたぐらいの盛り方である。しかも当時格ゲー以外ではなかった肉弾戦闘系のヒロインである。肉弾戦闘女子の初代プリキュアが2004年のことを考えると、魔法使い系ではないヒロイン(にもかかわらず暴力的でない)というのは革新的だった。

 

主人公のクラウドだが、初期のクラウドは飛影と対をなす邪気眼中二病の主人公だ。FFをホストゲーにした戦犯扱いをされる主人公でもあるが、多分当時流行ってたビジュアル系バンドの影響を存分に受けている(FF6の頃からその傾向はあったが)。物語を進めればクソ陰キャのパンツ泥棒であることがわかるもの凄まじいギャップだ。

 

FF史上初の黒人キャラ、バレット。意外と重い過去を背負っていたりしてちゃんと掘り下げられる。FF史上初のメインキャラに犬、そして裏切り者のネコという動物をラインナップするのも挑戦的だったと思う。それにNTR改造人間ヴィンセントというのも、小学生たちの性癖に何かを与えたと思う。際立ったおっさんキャラの宇宙飛行士シド、それにボーイッシュ忍者マテリア泥棒のユフィとその属性なんなんだというキャラも出てくる。

 

言わずとしれた死ぬヒロインのエアリス。見た目清楚系だけど、スラムの花売り(隠語)、性格も積極的な古代種であり、物語のキーマンでもある。こういうふうに属性てんこ盛りにしていて、一人一人がシリーズの主人公クラスをはれるぐらいのキャラ設定なのをメインキャラで使わない贅沢さがFF7にはある。その個性の一部でもFF12の主人公(脇役)に分けてやれなかったのかと思わなくもない。

 

■意外と深いストーリー

FF7は一度やったぐらいだとストーリーの理解が難しい。いろいろなテーマが混じり合っているのだが、特に深刻な環境汚染批判というのがある。魔晄炉という原発と油田と石炭発電が混じったようなエネルギー精製方法で地球が死に損なっていることを知ったバレット達テログループ組織アバランチによる星の救済というのが大きい筋書きである。魔晄炉を牛耳る神羅カンパニーというこれまた中二病的な企業があって、そこのエージェント達と戦いながら、星と魔晄炉の秘密を知っていく。

 

ここで隠れたテーマに「エリートの失墜、破滅」というものがあるのだ。例えば主人公クラウドはソルジャークラス1stを名乗る。これはFF7世界におけるエリート軍人のことであるが、物語を進めるとクラウドがソルジャーでないことが明らかになる。故郷でティファ(お互いよく知らない関係で友達でさえない)に、都会さ出てソルジャーになってくんべ、と宣言して意気揚々と出ていったのはいいが、結局なれずじまいの上、人体実験で記憶までおかしくなって帰郷するという、クソ陰キャ全開のストーリーを見せられる(おまけに介護必須のキチガイにもなる)。昨今のお手軽ジャンプ漫画に見習わせたい不完全主人公である。記憶の混同でおかしくなった中二病だが、過去の記憶を取り戻すことでクソ陰キャに戻るというのも新鮮だ。この記憶の混同したクラウド視点で物語が進むので、一度のクリアでは理解が難しいのだ。

 

ラスボスはイケメンソルジャー(本物)のセフィロスだ。ラスボスは人外みたいなRPGが多い中で主人公なみのイケメンっぷりを発揮するのは珍しい。これも本物のエリートだったが、出生の秘密を知ることでキチガイになるという筋書きである。新聞にも載る有名ソルジャーで天才だったのが闇落ちして人類を滅ぼそうとするようになるのだからはっちゃけている。

 

こういうふうにエリートなのに人生崩壊するというキャラが多く、神羅カンパニーの社長の御曹司ルーファウス君だとか、そこの元エージェントだったのにNTRて引きこもりになったヴィンセントだったり、エリートだけどコンプレックスまみれの科学者・宝条だったりと、恵まれた環境からのクソみたいな人生というのが本作のストーリーに魅力を加えている。

 

■全部盛りの街やステージ

各地域や街がみんな個性的で良いのも7の特徴だ。最初の街がのどかな田舎などではなく、どうしようもないスラムと下層階級が住む近代都市というのもすごい。小汚い街でやさぐれている市民、風俗街、魔晄炉と怪しい魅力たっぷりのSF世界なので、すぐに引き込まれた。そういう大味な街の中でも、ストーリーを進めるか2週目で気づくような伏線があったりするのもいい。スラムの小汚い家の中に頭のおかしくなった人間がいるが、これが実はセフィロスのコピーを作ろうとして失敗した人体実験の被験者であることが話している内容でわかる。初心者の館で格好つけるクラウドも見れる。タンスのヘソクリを盗まないでおくと、後から良いアイテムに変わっている民家があったりするのもいい。FFは科学と中世的魔法の世界が融合しているのが魅力だが、このように掴みがSFというのも初めての試みではなかったか(FF6では最初に魔導機械が出てくるが、町並みは中世ヨーロッパ風だった)

 

だがSFチックな世界だけでない。貧困な鉱山と砂漠(バレットの故郷)、グランドキャニオンを模した神秘的でシャーマニズムを融合させた大自然(犬のレッドサーティンの故郷)、ロケットが印象的な街(シドの故郷)、京都をイメージしたであろう和風の街(ユフィの故郷)、RPGには欠かせない雪山のステージ(犬と獣姦する売春婦の故郷)。洋館の地下室(引きこもり野郎の寝床)、潜水艦で行ける深海、潜水艦がないといけない山間の洞窟(クソビッチの寝床)、特別なチョコボがいないと行けない島など、RPG終盤ならではのスペースもある。ビーチのある砂浜の街や、大砲完備の軍事基地の街なども多彩だ。

 

忘れてはいけないゴールドソーサラー。ラスベガスを真似たであろうカジノの街。事故で貧困化した鉱山の街からロープウェイで行く隣街に金持ちの楽園があるというのも示唆的だ。ここでのミニゲームだけで星が滅びるまで遊べるのである。特にスノボーのゲームはそれだけで楽しい。

 

このようにRPGによくある要素を全ての街に散りばめて、キャラクターを掘り下げるためのギミックにうまくしているところが素晴らしいのだ。その後のFFは容量やムービー製造の限界もあって世界観はかなり統一的だ。FF10では神秘的な自然、FF12は中東、FF13は近代社会、FF15アメリカのロードサイドというようにかなり世界観が似ている。FF7は容量的にも多彩な街を設定できた最後のシリーズではなかろうか。逆に言えば多彩な街が多すぎて、今の技術だと再現にお金がかかりすぎるがゆえにリメイクが難しいのだ。噂によると3分割されるとの話もある。技術革新の最中だからこそ、全部盛りのボリュームでゲームを作れたのだ。

 

クラウドが童貞を卒業するのが青姦であったり、みんなに見られながら一発やる度胸とか細かいネタも豊富だ。散々地球の崩壊を食い止めるために頑張ったクラウドが結局、続編(FF7AC)でウーバーイーツみたいな仕事をしているのも何かいい。

 

とにかく細部に渡って細かい設定と演出、パーティーの濃いメンツ、自分をソルジャーだと思いこんでる精神異常パンツ泥棒主人公、花売り(隠語)ヒロインなどと、一度では理解できないちょうどいいバランスのストーリーとか世界観は当時のRPGとしては凄くインパクトがあったように思う。破綻していない展開も良い(FF15比)。

 

ゴリゴリのポリゴンも当時だから感動を呼んだ(クラウドのへんてこな腕)。戦闘中の八頭身はいい感じに表現されていたと思うし、ポリゴンだからこそ漫画チックなコミック展開も見れた。

 

なんだかんだ叩かれることも多い現在のスクエニだが、思い出深いFF7のリメイクは成功してほしいと思う。