フロイドの狂気日記

時は流れ、曲も終わった。もっと何か言えたのに。

PR

感情を察することが苦手だと思った日

とある知人が絶望しきっていて、一緒に酒を飲みに行った。彼はスナックの女と付き合っていたが妊娠させたことが発覚した。そうしてどうするか、どうしたらいいかで散々悩んだ挙げ句堕ろすことになったという経緯を聞いた。

 

知人はモテる男だ。どこの飲み屋に行ったってそこにいる誰かをセフレにしてしまうような男だ。ところが彼の基準なのかもしれないが、セフレにするケースと付き合うケースがある。そして今回は付き合ったケースだった。彼は妊娠させたことがわかった時、結婚を申しこんだそうだ。責任をとろうと思ったのだった。相手の女性は20代であるが子供が2人いた。そしてその2人とも種違いである。つまり僕の知人を含めて3人の男の子供を妊娠したということになる。2人の子供の旦那とはそれぞれ別れている。

 

こういう状況の中で、何とその女性は結婚の申し入れを断ったのだ。2人の子供が親違いで3人目までは抱えられないし、結婚もする気がない、と。一人でスナック務めで親がいるとはいえ2人の子供を抱えるのはつらかろうと思う。だがその女性は断ったのだ。僕には理解不能であったが、結局堕ろして別れることとなった。というか別れた後に妊娠が発覚していたのだが。僕は兎にも角にも人間の業や感情は複雑怪奇であると思ったのみだ。

 

別の友人と飲みに行った時その話題になった。僕が複雑怪奇だと思っただけの出来事を、彼はバッサリと結論づけた。

「ようするに振られただけだろ。」

「妊娠したのに結婚を断るのはどういう気持ちかさっぱりわからん」

と不思議がる僕に彼は更にいう

「あいつはどこの飲み屋でもモテるしヤリまくりやろ。相手も飲み屋のねーちゃんやから噂ぐらい聞いている。そのへんの飲み屋でもヤリまくりって聞いたし。そういう男と結婚したくないってことやと思うよ」

 

僕はまったくそういった考えが回らなかった。同じ情報を持っていても線で結ぶことができなかったのだ。別れた後知った妊娠、逃げずにちゃんと結婚を申し込んだ友人。それでも断られるというのはちゃんと理由があるもんだ、と。僕はその状況を考えて頭をひねって、複雑怪奇だなあとしか思わなかった。

 

2人の友人がモテるには理由があるということか。僕のように相手の感情を、とりわけ女性の感情を理解できない身としては、客観的に見て女性が嫌がる行動を取っているのだから結婚まではいかない関係というのが理解ができなかった。彼は理解できる。情報の点と点を人間の感情と結びつけて結論を導いた。

 

それに比べて僕は

「付き合って妊娠しても、結婚より堕胎を選ぶ女性もいるんだなあ、不思議!」ぐらいの感覚でしかいなかった。

 

こりゃあ無理だな、娑婆の世界でこういう感情を読みながら共同生活をできる気がしない。結婚なんて夢のまた夢だ。浮気されるか逃げられるのがオチだ。30代にもなって人間をプログラムちっくに考えてしまう。妊娠して結婚を申し込まれたらアウトプットとして夫婦になる、というような。もっと複雑な例外条件があるのだ。

 

そして僕が短絡的にモテる男はいいですねえ、などと思っていたが、その分どこかで帳尻を合わせるように、何かを犠牲にしているということなんだろう。僕は知人たちのすったもんだを聞いて、ただ自分の短絡的かつシンプルな構造しか考えられない脳みそにうんざりしただけであった。