フロイドの狂気日記

時は流れ、曲も終わった。もっと何か言えたのに。

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その場しのぎという日本の病

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これは日本人の病と言い切っていいのではないか。技能実習生制度を利用して地方で奴隷工場のような運営をしていた企業が悪い意味でバズった。その悪徳企業はブランドタオルを製造していたようだが、そのブランドの元締め団体は風評被害で逆ギレして事態を収束させる方向に舵を切ったらしい。

 

これね、多分日本では正解なんだろうな、と思う。

もの凄く日本的だな、とも思う。

 

日本全体がそうなっていると言ってもいいんじゃないだろうか。とにかく具合の悪いことは全て沈黙と隠蔽でどうにかしのぎ切ってしまおうという強い意志を感じる。どこもかしこもそうなっているように見える。この技能実習生問題だって1週間と言わず2-3日で実質的な収束に向かっているし、実習生の外国人の立場はあまり変わらないだろうなあとも予測がついてしまう。

 

なんでこうなるんだろうな、っていうのは日本で長年暮らしていたらわかるけれど、公共とか全体への善意とかってのがこの社会では希薄なんだ。お前が今打ちのめしている相手は、いずれ自分が立つ場所にいるかもしれない。そう考えた時にちょっとこれは良くないよな、規制すべきだよな、っていうムーブがなかなか起きない。

 

何故かと言うと、彼らが奴隷状態であるが故に得する人たちがかなりいるということなんだろう。安い製品、安い賃金。市民と経営者のwin-wiinの関係。外国人は日本人ではない、内側の人間ではない、そういう意識から彼らがいくらひどい目にあったって知らんふりできるんだろう。

 

日本人には全人類的な善意というものを理解できないかもしれない。誰かを搾り取った結果、自分が少しでも得をできるというのなら、それが人の道を踏み外す行いでも黙認できる人が多いという結果か。それはきっと大きなツケを払うと思うが、その時が来たって、自己責任だとか政治家のせいだと言いながら粛々と苦しむのだろう。

 

日本では長いものには巻かれろという認識が強すぎる。技能実習生はもとはといえばお上がやり始めた、いわば政府公認のシステムだ。お上が認めた搾取は正当なもの、例え違法だとしても逮捕まではいかない。政府は暗にやりすぎるなよ、とほのめかすのみだ。

 

一般市民的な意見はきっと、そんなの知ったこっちゃないで統一されている。もともと移民アレルギーの国家だから彼らにはいてほしくないし、日本人のために搾取されるなら置いていてもいい、それぐらいの考えを持っているようだ。無関心からくる残忍さというのは日本の特徴ではなかろうか。

 

地方にまっとうな仕事がなくなる現在で、経営者が雇用と税金を納めなくなることを恐れて、地方自治体は黙認しているのだろう。多少でもその地域にお金が回るなら、と道徳も全なる精神も全て売り払うかのようだ。悪辣なブローカー、貧困な自治体、善意のない政府、無関心な市民。これらの合わせ技で技能実習生は存在する。今にこの公共の理念なき国民国家が自分達の首を締め上げているか、明白になる日が来る。

 

そしてまさしく今、経営者目線の3等市民、官軍のつもりの奴隷たちが年金削減、保険の値上げや増税で塗炭の苦しみに喘ぎ始めているではないか。情報の隠蔽をしていれば現実は見れない。公共の利益に無関心であれば何が起こっているかさえわからない。

 

全人類的な善というものをほんの少しだって理解しない日本人は、同じ国民に対しても残忍になってきた。氷河期、シングルマザー、在日、派遣社員。いくらだってひどい目に合わせてきた。今更外国人を隷属化することに懸念を示すだろうか。

 

国家の高齢化による、財政的逼迫は令和に入り加速している。地獄の蓋は空きつつあって、そこから漂う悪臭が社会に蔓延し始めている。その臭いに気分を害したときは思い出すべきなのだ。都合の悪いことを全て隠蔽してきた我々の罪に、罰が下る日が来るってことを。自己責任で構造の問題を見て見ぬふりをしてきた、自分たちの自己責任だってことを。