フロイドの狂気日記

時は流れ、曲も終わった。もっと何か言えたのに。

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2019年の日韓関係悪化は、戦後日本の政治姿勢の終着点

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ナッシュ均衡とは、ゲーム理論の一種であり、どのプレイヤーも戦略変更によって高い利益が得られない状態の事を言う。

 

韓国の幼年期の終わりとでもいうべきものかもしれない: 極東ブログ

 

日韓関係が毎度のことながら悪化している。この原因は徴用工問題やそれより前の従軍慰安婦像で日本の保守派がガチギレしたのと、フッ化水素北朝鮮横流ししているのではないかという疑惑などと合わせての話のようだ。

 

日本の政治談義好きな人は韓国批判一色のようになっている。徴用工問題など今更蒸し返すなという態度と北朝鮮に対して融和的な文政権に対する苛立ちと、韓国側の安倍政権嫌いが絡み合って解決不能とも言える状態になっている。

 

日本から見れば、徴用工問題を認めて謝罪するという「戦略変更」をすれば、韓国側は納得したとしても、日本の保守派から支持を完全に失うだろうし、またもや歴史問題での相手側のカードを増やしたと誹りを受けるだろう。そこをスルーしてフッ化水素の輸出手続きをもとに戻す、ホワイトリスト除外を停止するという「戦略変更」はどうだろうか。結局として日本が日和ったという認識を韓国側が持てば、圧力が日本に効果的であるという証明になり、歴史戦も北朝鮮融和もOKという誤解を与えることになるかもしれない。日本にとってどちらの戦略変更も受け入れられることはない。

 

韓国側から見ても同じだ。徴用工問題を取り下げればそれは文政権の終わりの始まりになるだろうし、フッ化水素を得るために何らかの和解を持ち出すことさえ自分たちの誤りを認めて外交カードを捨てる羽目になる。もはや韓国内の徴用工関連の会社の資産を差し押さえられるようになった事で不可逆となった。今後の「戦略変更」は損以外産まない。

 

そして決定的な将来の岐路となったように思う。フッ化水素が輸入しづらくなったというより、それが圧力カードになるということはすでに証明されたように思う。それを避けるために長期的には内製化するだろう。サムスンがそれをできるかどうかはわからないが、中国の品質向上によって時間が解決するかもしれない。そうなると日本の判断はやぶ蛇だったということになる。徴用工問題についても新しい謝罪も賠償もしないという姿勢は、歴史認識において新しい火種を抱えないということで一致している。

 

新しい火種は抱えないと言っても、それは害にならないということではない。レーザー照射事件以降、日本と韓国はそもそも味方同士なのかという疑念があがっているわけで、もうお互いの認識に妥協はないという方向に進んでいっているように思う。歴史問題でも、輸出問題も、安保でも妥協のない関係になった。そしてお互い戦略変更は得にならないということも。

 

よく比較されるのがドイツと日本の立場だ。兼ねてから日本に求められていただろうドイツのような振る舞いは、日本には絶対不可能だということが証明されている。ドイツは未だギリシャポーランドから賠償するべきという言葉が上がる時があるが、それでも閣僚政治家は足並み揃えて逆ギレせず、謝罪を繰り返すのだ。その戦略は軍備縮小というかたちで功を奏しているように見える。安全だから軍隊に金をかけない。

 

そもそもが大戦の原因となった天皇制を残せた日本と、ナチスを完全に消滅させたドイツの立場は出発点から違った。ナチスの賛同者は法的に抹殺できるドイツと、戦前に戻したがる勢力が一定数いる日本とは政治状況が違うとも言える。

 

だからこそ日本は「今後の帰結」を受け入れるべきだと言いたい。つまり北朝鮮・中国圏に韓国が実質的に組み込まれた時、日本は最前線で戦い、金をかける覚悟を持たねばならないということ。日本が必要不可欠な高品質素材の輸出を中国や韓国に代替えされたとしても、やはりそれは外交不和の結果として受け入れるべきなのだ。

 

あえて言うならば、この問題は戦後の日本のスタイルが招いた必然の結果だと明白に言いたい。これを言えば徴用工問題といい、レーザー照射といい韓国の問題だ、と息巻いて怒る人達がいるだろう。徴用工問題を蒸し返さえたり、レーザー照射されるような関係というのはその前から始まっている。

 

「戦後の罪」を「自主的に」「無制限に」追求したドイツと違い、「早期に」「国家間の契約で」解決を図り二度と問題視させないという方向性を持った日本との違いと言える。戦前の罪をどこまでも追求して末端の超高齢ナチス党員さえ裁判にかけるドイツと、国家間の契約さえ結べばそれらの協力者や罪人を無罪放免にした日本の違いとも言える。日韓関係が政治的に融和することは最初からなかった。この状況はいずれ来たるべき必然だったとも言える。本質的には解決をせず先送りし、結果お互いの憎悪を解決せぬまま増幅させたということだ。

 

日本を責めるわけでもない。ただ結果が見えるだけ。今後の日本の道はひとことで言える。

「金がかかる」

 

それだけだ。歴史戦の終着点として解決不能、お互いの不信を生んだという状況があり、日本の国民のほとんどはそれを自分たちの歩んできた責任だとさえ思わないだろう。韓国のせいにし続けるし、それを正当化できる状況となった。おかげさまで中国勢力圏VSアメリカ勢力圏の最前線に立つという形になっていくというわけだ。

 

僕はこの状態をむしろ良いことだと思う。これで日本は独立独歩の路線を否応なしに歩まざるを得ず、歴史責任を積極的にとろうとしない結果、国内限定の戦争犯罪免罪符を得て、その代わりに中国最大の防波堤である韓国を失うのだ。感情的にスッキリする代わりに、大量の金を失う。軍備を曖昧にして経済特化したいびつな国家像は破壊され、自分たちの足で立つが贅沢はできない小国家になるというのは、自己責任論者が多い日本にふさわしいと思える。

 

アメリカはすでに軍事予算の限界を迎えつつあるようで、日本にも韓国にも負担増加を求めている。この路線は今後も続くだろう。そもそもアメリカ自体が世界支配を維持できないことが明白になりつつある。長期的な賢さがあれば、政治家が韓国に無制限の謝罪をすることで、国家の負担を減らせたはずだ。ドイツはそれをしている。貧困化して余裕のなくなった保守的な日本では謝罪は無償という客観性は受け入れられないし、政府も嫌がる。

 

我々は妥協せずアメリカと戦争をした先人を嘆くことがある。たかだか数億円だがの賠償や誠意のある謝罪の継続をしぶった結果、数千億規模の国防が必要になっていくことを受け入れた今の現状で、彼らを笑えることはない。日本は打算的な外交上手ではなく、昔からプライドが先行するのだ。ドイツのようにへーへー謝罪だけをできる国であれば、負担も減ったのにと思う。消費税10%で悲しむな、これから武器に自衛隊に増強が必要になるんだ。でもいびつな国ではなく、軍を持つ普通の国家となるのは悪くないだろうな、と思う自分もいる。

 

100年後、200年後の歴史家たちが不器用で立ち回りの下手な日本を嘆くだろうか。その時はすでに中国傘下となっていて、案外アメリカ勢力圏から抜け出す原因となった日韓関係の不和と、アメリカの衰退に感謝しているかもしれない。