フロイドの狂気日記

時は流れ、曲も終わった。もっと何か言えたのに。

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国家が滅びる瞬間に立ち会える喜び

柳井正氏の怒り 「このままでは日本は滅びる」:日経ビジネス電子版

なぜ漢帝国は帝国を維持できなかったか?

ローマ帝国はソフトランディングできなかったのか?

スペインの太陽はなぜ沈んだか?

イギリスはアメリカに覇権を譲らねばならなかったのか?

 

実に甘美なる妄想ではないかね。非常に勢力のある国家もやがて小さく小さくなっていく。何故なんだ。あれほど強大なら対処できなかったか。ここにいい例がある。日本だ。

 

あれほどアメリカを脅かした日本の姿はどこへ行ったのか?

他国に比べて大金を持った国家は何故こうも落ちぶれたか?

どうして対処できなかったのか?

 

冒頭のリンクのユニクロの社長はいいこと言っているなと思うのだ。まあ公務員を半分にしろというのはどうかと思うんだけど、全般的に言っていることは、予算配分のことなんだろうと思う。有能なやつに金渡せ。今の日本がいいなんて言うな。そんなことを言っている。公務員の半減という発言に釣られて他の言葉が聞こえなくなっているが、僕は正しいと思う。

 

日本は誰に金を使っているのか?ということだ。インタビューでは触れられていなかったが予算のほとんどは医療年金なのだ。今後大きく活躍できない世代に対して、延命治療、介護、たくさんの投薬を行っている。年を取れば病気になる。ところが日本が勢いの良かった80年代は男性73歳、女性78歳。70年代に至っては男性は69歳で死ぬし、女性も75歳で死ぬのだ。

 

現代に比べるとおおよそ10歳ぶんは長生きするのだ。その間かかる医療年金介護費用に比べて一体どれほどの税収を得られるのだろうか?そもそも大きな医療介護が掛かる人はもはや働けまい。誰もが気づいているが、我々はかつてありえなかった高齢者の生命維持のためにお金を配分しているのだ。誰もが気づいていてそれをカットできない状態になっている。だがちょっと考えてみよう。誰か独裁的な人がやってきて、お前らは早めに死んでもらう、と宣言し病人達の治療を片っ端から止めてしまう。そういう国家を想像したときに、そういう国家像は理想であるのか?と。

 

日本はかつてないほど人道的な国家を形成した。が故に無制限に医療費などを使わずにはいられないのだ。日本が亡国になっていく理由は「高齢化」の一言で済む。そして予算配分が生産性だとか能力のある人だとか、未来やインフラに使うのではなく、死ぬ直前の人にさらに延命するために配分されているのだ。そして大人のほとんどはそれを理解している。だが止められない。

 

冒頭の社長のインタビューはおそらくそれをぼかして表現するために公務員を半分にと言っているのだろうが、国家の予算で無駄な部分を見直すという例えではなかろうか。老人は死ねという発言は、超大企業の億万長者でさえ言えないのだろう。というか社長も結構な高齢者だし。日本が人権を維持し続ける限り、高齢者の医療カットは難しいだろうし、そのために人権とは無関係な大学予算や地方のインフラをカットし、増税に励むことになる。そうすれば現役世代は疲弊するだろうし、科学の発展は鈍るし、競争力も下がる。どすれば、という問いの答えは決まっている。しかしそれが言えない。

 

かつて大英帝国財務省チャーチルヒトラーとの全面戦争は国家財政を破綻させると通達した。しかしやらねばならない義務を果たしたことで、アメリカからの借金がかさみ、その返済のため世界中から軍隊を撤退させ予算を削減し、借金返済の延長のために基軸通貨の地位を譲渡した。それが何を意味するかわかっていたとしてもどうにもならなかったのだ。

 

ローマ帝国ゲルマン人の増長により広大な領土を守るための軍事費が増大した。これが結果的に帝国の財政を圧迫した。ゲルマンがローマ領土に侵入したのは、寒冷化の影響で暖かなローマに進軍せざるを得なかったようだ。軍事費の膨張は大きな課税を生む。そしてその課税がローマ帝国への不満の高まりとなった。やがて帝国は乱れるというわけだ。気候変動に徴税、財政支出の増大。どこかの国にも当てはまりそうだ。中国の圧力による軍事費の増加、高齢化による医療年金支出の増大はまさに現在進行系だ。

 

あれほど栄華を誇った日本が、ついに内憂外患によって滅ぼされていく過渡期にあるというのは、歴史的スペクタクルの体験としては実に興味深い。歴史クラスタの中には帝国の崩壊を根源的に理解したがる人もいるだろう。まさしく現代の日本がそれなのだ。

 

僕らは崩壊の歴史に立ち会っている生き証人と言えるかもしれない。