フロイドの狂気日記

時は流れ、曲も終わった。もっと何か言えたのに。

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「桜を見る会」問題は民主主義のハッキング

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総理大臣達と桜を見る会というのがある。毎年行われているようだが、この予算の増大とか招かれる人たちの理由とか色々と指摘されている。問題の中身は冒頭の記事を見ればわかるのだが、何故これが堂々と行われるか、ということこそが日本の病理のように思われる。

 

つまるところ、選挙で圧勝している現実があり、選挙で勝ちさえすれば何をしてもいいというような振る舞いが許されているということが大きな問題なのだ。そもそも選挙で勝ちさえすれば何をしてもいいなんてことはない。だが自民党や安倍政権の支持者はそれを強固に主張する人たちもいる。選挙は国民からありとあらゆる自由を許されるための投票ではない。反対派もたくさんいるし、すべての政策に賛成して投票しているわけではないからだ。

 

とはいえ安倍政権は勝てば官軍というような態度を隠そうともしないし、勝つことを見越して先手を打って解散選挙をしている。そして連勝するから、いかなるスキャンダルも国民は気にしていない、だから選挙で勝つんだ、という振る舞いをさらに強くする。結局のところ大幅に負けない限り、この状況は続く。

 

安倍政権がしている民主主義のハックはいくつもある。まず経済的安定の演出である。日本の経済成長はとくだん素晴らしいわけではないが、低空飛行を続けながら失業率が抑えられているため、食うことはできる。だからこそ不満はあるが、爆発しないという状態があり、それこそが安倍政権が長期政権たる原動力になっている。この均衡が崩れない限り、反発した有権者が懲罰を与えようというインセンティブが働かず、固定票だけでも勝てる。派遣社員だろうと、増税しようと食ってさえいれれば国民は慣れるというのが実態だ。

 

次にまずい情報をいかにしてシャットアウトするか、ここが歴代政権とは違っているところ。とにかく改ざん、証拠隠滅、すり替えを徹底していて、政治家としての矜持に欠けるとしても、国民の批判を政権に向けないハックを完全にマスターしていると言える。たいていの人にとっては官僚たちの持っている書類などには縁がないし、それがあろうとなかろうと大半の市民生活には直接的な被害がない。逆に言えば「短期的に国民生活に害がなければ、国民は怒らない」という政治ハックを完全に身に着けたと言える。そして短期的に不満を持たせないために、公的資料を破棄させる(ことにする)ことで、野党からの攻撃が回避できるし、マスコミに資料が流出してバッシングを受ける可能性が低まるということ。これによりマスメディアからのバッシング対応を繰り返し支持率が低下することを回避している。これは今までになかった政治ハックであるように思う。官僚に責任を押し付けたり、資料破棄させることが、どのようなしっぺ返しや報復を生むかはわからないが、少なくとも安倍政権下で問題が顕在化することはないだろう。

 

桜を見る会など、なりふり構わないイエスマン達のコミュニティを作り上げることで、ふんわりとした与党のスピーカーを製造していることも強みだ。失敗こそしたがモリカケ問題で刑務所に入った籠池夫妻だって元々は安倍政権のスピーカーだったはず。そして少し躓いたように見えるが、籠池氏を長期勾留して法廷での処罰まで持っていけたことは、逆に有象無象のイエスマン達に対する見せしめになっただろう。これで裏切り者は出てこないし、安倍政権の傘にいる間は安定した利権に預かれることの証明にもなった。野党は造反者を守れないし、利権はやはりあるのだから、仲良くしているにこしたことはない。

 

未来を作るためのプロセスを破壊すれば、長期政権は可能である。安倍政権の強みは権力の集中するためのありとあらゆる仕組みを破壊できたことだ。官僚の人事権を握ることで、内部からの造反を対策した。本来自民党は党内で政権交代ができる多様性があったと言われるが、安倍総理から遠い自民党議員は遠ざけられている。石破茂議員がいい例だろう。もはや彼が安倍総理の対抗馬だったなどということは誰も覚えていないし、将来の総理になれる気配がないこともわかりきっている。力を失いポストも割り当ててもらえなくなった。代わりに失言オンパレードの大臣たちを作って、大臣候補の在庫処分も進めている。

 

次の世代を作るために、自民党内の派閥政治があったが雲散霧消した。公式書類を残していくことが将来政策への参考になるはずだが、これも処分することが当たり前になった。その2つを潰せば、誰も権力を脅かすことができなくなり、国民も経済が極端に悪化しなければ怒る理由もないのだ。それどころか権力側の皮をかぶることで気持ちよくなれる。

 

とはいえ自民党に積極的に投票している人たちが悪いとは言えない。少なくとも民主主義のプロセスを実行しているのだから。間違っているのは投票にも行かないことで、圧力カードを放棄している人たちだろう。自分達の将来がかかっているということに対して、興味さえ持たない人々が50%は常にいる。投票にも行かない人たちが細かな政治情勢など興味を持つこともないだろう。

 

こう考えると官僚、メディア、野党や与党内対抗馬たちこそが民主主義の空気感を作っていたんだと思う。それらが持つ力を削ぐことで、民主主義そのものを無気力で覆い、擬似的な独裁体制を敷くことができたということだ。中国のような強烈な独裁は不可能にしても、イエスマン達と際限のない腐敗を楽しむことはできる。

 

とはいえ根幹は経済状態と失業率の安定にある。世界経済が悪くなっているニュースはチラホラと出てきた。食うに困るまでは国民は世の中に対して何も思わない、という厳然たる事実を抑えると、政権のハックは難しくないようだ。