フロイドの狂気日記

時は流れ、曲も終わった。もっと何か言えたのに。

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SNS全盛期の売れ方

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作品がネットで簡単に公開できるようになって随分経つ。SNSスマホはさらに作品公開の手軽さを上の次元に持っていったと思う。代償として炎上はさらにイージーとなった。

 

「100日後に死ぬワニ」が終わってから5日経っても批判が止む気配はない。それはワニビジネスが次々に出現しているからだろうと思う。かわいそうなことに今後この作者は新しい作品を出すたびにこの騒動を引き合いに出され批判にさらされたりするのだろう。ネット時代はムーブメントが記録されるので、大きなムーブが消え去ることはない。

 

Twitterは特に顕著であるが、イラストにいいねがつきやすく、あっと言う間にフォロワーがたくさんつくことも珍しくない。その割には大金持ちになれるかというとそうでもなく、マネタイズはかくも難しい。誰だって儲けたい。売れっ子になって気楽に暮らしたい。SNS全盛期は評判を獲得するまでのスピードを大幅に短縮する。同時に一度ついた悪評は消し難い。

 

今の時代は売れ方というか、名前の売り方みたいなものに作法がある。これは空手の型のように決まりきったものであるようにも思う。アンチパターンもあり、デビュー前に確実に覚えておかねばならない。

 

まず第一に作品が政治的かどうかを考える。政治的なメッセージが強い作品ならSNSで作品イメージにそった政治発言は許される。だがディズニーのような完全に大衆向けの無難なものであれば、政治発言はしないほうがいい。やるなら完全に切り離したアカウントでやるべきだろう。政治・宗教・野球について他人に語るなという昭和からの言い伝えはSNSでも有効だ。

 

次にマネタイズの臭いが強すぎるのもアウトだ。粗製造の魂がないように見える作品はあっという間に批判の渦に巻き込まれる。パクリに思われたりするのも問題だ。誰かが作った似たような作品なんてものは大量にあるが、まるで盗んだかのように思われるのは最悪である。

 

あくまでSNS個人事業主的な売り方をするから売り出し方を気にしなければならない。漫画家なら少年ジャンプデビューのような、ある種王道は企業がサポートしてくれるからあまり問題にはならない。あくまでSNSでバズを狙うという手法であるからこそ、地雷を踏まないように気をつけねばならないのだ。企業づきあいもそうだ。電通パソナワタミなどはネットにおける仮想敵国である。銭ゲバで労働者の的のようなイメージがついている企業の仲間と思われることは損だ。電通は仕事上日本のいたるところにあるが、バズに参加したムーブメントが広告代理店の狙い通りでした、というのは情強気取りが多いネットの論客達にとっては屈辱そのものなのだ。

 

バズというのは個人の意識の集合体で形成されているので、ラッパーがない分むき出しの憎悪と好意にさらされやすい。出版社であったり、レコード会社のようなクッション役がない。個人の意識はあっという間に不機嫌を連鎖させる。そうしてその対処は自身がやらざるを得ないが、それさえも火に油を注ぐ結果になることもある。これが大人の企業がいれば間に入って対処してくれる。先生は作業に集中してくだせえ、とばかりに手慣れたやり方で収められるかもしれない。SNSで売り出すと個人の魅力がそのまま人気につながるがゆえ、個人に対する嫌悪感がそのまま炎上理由になる。気をつけねばならない。

 

こういうときにイラストやデザインなど絵に関するビジネスは非常にシビアだ。僕がやっているプログラミングなどは、いくらでも名前を隠せるし、何度でもサービスを畳んだり再展開したりすることができるし、絵柄のように個人の特徴がバレることはない。

 

ブロガーなんかもそうだろうが、顔と本名さえ出さなければネットから完全に個人を消してしまうことは難しくない。新しくブログ媒体を作りなおし、Twitterアカウントを取り直せば大抵の人は以前の自分を知ることもないだろう。それまでに手に入れた知名度やファンはなくなるが、それでも憎悪を持たれたまま寝首をかかれるのを待つよりはいいかもしれない。

 

イラストや漫画はバズりやすい性質からステマに利用されたりすることも多いようだ。絵柄は簡単に変えられないだろうから、一度小銭を拾うために良心を捨てたとレッテルを貼られれば、人生の終わりまでミソがつく。だからSNSでバズを狙っていつか単著の一つでも、と思っている人はネットを支配する空気を読み切る知恵が必要だ。

 

そもそもネットで売り込むというのは、文章を売るにせよ、漫画を売るにせよ大手出版社に拾われなかったというところがある。際どい水着のコスプレイヤーも地下アイドルも同じだろう。大資本のお眼鏡に叶わなかったからこそ、ネットという荒野にオアシスを探すシビアな旅に出ざるを得なかったのだろう。大資本に守られたプレイヤーが気にしないでいいようなことにも、目鼻をきかせる必要がある。

 

つまりワニの作者は不運(ハードラック)と踊(ダンス)っちまったんだよ

 

ネット個人事業主はゆめゆめ気をつけなさるよう