フロイドの狂気日記

時は流れ、曲も終わった。もっと何か言えたのに。

PR

映画「地上より永遠に」現代だと魅力が半減する主人公の映画

PR

やはりブラウジングする間に吹き替え映画を流しっぱなしにしようと思って選んだのがアカデミー賞の作品賞を取った1953年の作品「地上より永遠に

なんで見る気になったかというと、この頃の邦題は素晴らしくセンスがいい。読み方が「ここよりとわに」というのもすごくセンスのあるワードチョイスのように思う。

 

内容としては、ボクサーとしての腕を買われてラッパ隊から引き抜かれてハワイの部隊にやってきた。主人公はボクシングで有望な友人の選手生命を絶ったトラウマからボクシングはしたくないと上官に言う。その結果部隊で徹底的にしごきにあい、週末の休みさえ満足に許可されない生活を続ける羽目になる。それでも絶対にボクシングはしないと断り、上官はなんとしても決勝戦までには心変わりさせようといじめる。優勝すれば2週間の連続休暇が与えられるからなのだが、何を言っても主人公は首を縦にしない。軍隊生活の中で、親友ができるが軍隊用の刑務所である営倉の管理者と喧嘩になり、やがて親友は営倉入になり、管理者に叩きのめされ殺される。主人公は仕返しをし、営倉の長官を殺害、その後恋人の家で隠れ住む。自堕落な生活を続けていたが、パールハーバーを日本軍が襲撃、主人公は部隊に合流するために、恋人を振り切って行くが、途中で米軍の呼び止めに応じなかったため撃たれて死ぬ。皮肉なことにボクシングの決勝戦パールハーバーによってなくったと看取った曹長がつぶやく。

 

とまあこんなあらすじなのだが、なんだろうね、理由なき反抗的な主人公にまーったく感情移入できない。現代だとアスペとかADHDとか言われるたぐいの頑固さなんだろうと思う。ボクシングをしないのはまだいい。意味不明なのは、パールハーバーの襲撃時に警戒中の米兵たちに呼び止められたのに、応じないで走りさろうとして味方に撃たれて死ぬというエンドだ。物語の根幹である軍隊暮らしであったり、主人公をいじめていた上官の左遷であったり、子供を生むことができない上官の妻とその下の曹長の浮気だったり、そういったものは悪くないのだが、いかんせん主人公の頑固さとラストの死に方の無意味さが気になった。せめて日本兵に殺されるとかのほうがキレイな死に方だと思うのだが、無駄死にもいいとこなのでなんだかなあ、と感じた。

 

個人的にはタイトルが一番センスが良くて、中身は当時の軍隊暮らしの苦労と文化が見れるだけで、まあ普通の映画かな、といったところ。主人公の行動原理が意味不明すぎて、男前なのはいいけれど、いややっぱり意味わかんねえって思うばかりだ。

 

もはや70年も経つと価値観が変化して、その当時の文化や風習もわからなくなって、感動できなくなるのかなあ、という気持ちになった。とてつもなく有名な作品よりも、自分たちが生まれてからの名作に視聴時間をとったほうがいいのかもしれないと思った一作だった。

 

5点 / 10点

 

地上より永遠に(吹替版)

地上より永遠に(吹替版)

  • 発売日: 2020/07/06
  • メディア: Prime Video