フロイドの狂気日記

時は流れ、曲も終わった。もっと何か言えたのに。

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安倍首相より「システム設計の名宰相」はもう出てこない

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安倍首相 辞任の意向固める 持病が悪化したことなど理由に | 安倍首相 辞任へ | NHKニュース

 

anond.hatelabo.jp

7年半という米大統領二期分くらいの期間をクリアした首相でした。8年近く経てば人の人生はかなり変わるもので、僕は最後に勤務した会社に入社して、辞めてフリーランスをしたり海外に住んだりしたのだけど、それらはすべて安倍政権下だったんだなあとしみじみ思う。

 

安倍政権の特徴を挙げるなら「無味無臭」「根回し上手」に尽きるのではないかと思う。彼はIT業界におけるPMという立ち位置なら本当にエクセレントと呼ばれる人材だったと思う。

 

僕が政治情勢をきちっと覚えているのは小泉政権後期あたりからなのだけど、小泉以後のほとんどの政治家ができなかったことに、官僚とメディアのコントロールってのがある。これは歴代の総理大臣すべての課題だったのだろうけど、安倍政権だけがそれをシステムとしてきちっと体系化できたということは本当にすごいことだと思った。

 

例えばマスコミと官僚のコントロールは総理のカリスマ頼みみたいなところがあって、小泉政権はまさしく大衆人気と小気味の良いフレーズでマスを味方につけたと思う。官僚コントロールはどれほどだったかはわからないけれど、マスコミ対策は小泉政権的なカリスマでクリアするしかないと思われていた。安倍政権が覆した常識というのはそこだと思う。とにかくマスコミに毎日バッシングを受けたらどんな政権でも持たない。民主党もそうだったし、麻生太郎福田康夫も不可能だった。そこを叩かれないシステムというのをきちっと作り上げた。

 

まずマスコミコントロールができたのは安倍晋三の資質のもっともいいところである無味無臭の人物像のおかげだろう。安倍嫌いな人たちは認めないだろうけど、一般的に見て安倍晋三はあまり悪く見えない人で、角が立たず個性がない人だと思う。その資質があって初めてマスコミと官僚をコントロールできるシステムが作れたのだと思う。

 

これが麻生太郎鳩山由紀夫のような人だと、イラッとする言葉が口から出るたびに市民がムカついて、いくら会食を重ねてもその叩きやすさがマスコミの餌食になってしまうんじゃないかと思う。安倍晋三はあまり失言っぽい失言のない総理大臣だったと思う。

 

そういう無味無臭さがあって、8年近く国民がTVを見続けて耐えられるだけの人となりだったんだろうと思った。次に官僚コントロールだけど、民主党がやりたくてできなかったことの一つであり、第一次安倍内閣でもできなかった。この一度目の失敗が安倍晋三の長期政権の基礎になった。第二次内閣では早い段階で人事権を掌握することができたので、これによって従う官僚だけを昇進させることができたというのは有名な話だと思う。

 

政界のプリンスだけあって、彼自身が田中角栄のような金満体質だったわけではなく、安倍晋三の威光を借りて好き勝手する人たちのために、官僚というか検察を抑えていたというところが、実に安倍晋三的だと思う。彼がお金大好き人間だったならもっと早く倒れていただろう。桜の会だとかモリカケ問題とかも、安倍総理が悪い奴らに利用された、的な見方をした人が多かったように思う。市民からすれば総理はお飾りであると見えた、にもかかわらず野党は総理の責任だと追求し続けたので何となく市民から野党の方がイケ好かない存在に見えたのではないかと思う。

 

角栄だとかリクルート事件で疑われた竹下登みたいなのとは違って、安倍晋三は本当にお飾りで桜の会でもモリカケ問題でも自分が金銭を授受したわけではないので、市民にとってはスキのある憎めない人という扱いだったんじゃないかと思う。

 

安倍内閣は徹頭徹尾お友達内閣だったというのは衆目の一致を見るところだろうが、安倍晋三自身は疲弊して叩かれて働かされただけであって、息子などもいないので地盤を有利にすることもなく、ただただ自民党の政治を維持するための装置になっていた。

 

ここがプログラマである僕がすごいシステムだなあ、と感心するところではある。どれだけ不具合がでても、国民は利用を続けるし、運営者達も好んでリプレイスをしないというのは本当にすごいシステムなのだ。セブンペイの顛末を見ればわかる通り、作っても存在が損をさせるので早期になかったことにするということはIT業界ではある。

 

例え技術的負債だのと言われても、8年近く動き続けた安倍内閣は相当すごかったのだ。一部の先進的な人からは古臭いシステムだと罵られる続けたが、ほとんどの一般市民にとっても政府関係者にとっても動き続けるのであれば30年だって使っただろうと思う。

 

じゃあそれで国民は何が得をしたのか、と問わないでほしい。長期政権であるが故の利益というのはあったんじゃないだろうか。知らんけど。どれって言われたらちょっとわからない。一応のところ世界経済の成長に伴って、コロナ前までは確実におこぼれを預かれた、というのはありそうだ。それは安倍政権が能動的にやったことではないので、当然世界経済が失速すればつられて失速する、というのが現在の状態なんだと思う。コロナがなければオリンピックで華々しいイベントが行われたのもあったかもしれない。これはIF世界だけど。

 

官僚が人事権握られたことに関しては、僕は官僚に同情しない。なんせ彼らの力が強すぎて倒閣されすぎたせいで、遅かれ早かれ政治家側がハックしにかかるのは時間の問題だっただろうから。会食だけでマスコミをコントロールしたとは思えない。安倍晋三の角が立たず、頭の悪い国民から見ても安心できる(インテリくささがない)、そして利益を得られるずる賢い人たちにとっても利用価値のある最適な人物だったというのがマスが最後まで敵にならなかった理由だと思う。

 

惜しむらくは安倍晋三にはテーマも野心もないので、本当だったらありたらゆる大胆な改革をできる立場であったが、能動的に動くことはなかったということだろうか。小泉内閣なら郵政改革があったし、田中角栄のような列島改造論みたいなテーマがなかったので、オリンピックがなくなった今、安倍晋三を紐付ける政治的テーマが存在しないのが辛いところだ。そうはいってもテーマを持つ人は個性的なので、安倍晋三に個性があればここまで長期政権を築けたかはわからない。

 

ところで次の総理候補があがっている議員には、残念だけれど安倍内閣のような8年近く耐えうる政治システムを作れるほどの逸材はなさそうだ。官僚がずっと我慢してきたわけで、おそらくバックラッシュが起こるだろうし、インフレ目標も達成できなかった上、コロナで疲弊した経済の舵取りに、コロナで悪化した財政の対応を財務省から要求されるだろうし、マスコミだって次の総理が出たからと言いなりになるとは限らない。キャラクター次第なところがあるので。

 

特に安倍晋三と違って無味無臭とは言えない個性的な候補者は残念ながら長期政権は難しいだろう。その理由を予測してみる。

 

石破茂

河野太郎

小泉進次郎

岸田文雄

野田聖子

下村博文

 

 

石破はお茶の間でずっと見たい顔でないので女性人気は捨てざるを得ないし、しゃべりがうまいわけでもない。男性人気が出るタイプでもない。そもそも自民議員に嫌われているので総理になっても後ろから刺される気がする。

 

河野太郎は特徴としては麻生太郎みたいなイラッとさせてしまう発言や態度をとりそうなので総理になってテレビに映されると難しいんじゃないか。彼を好きになる人と嫌う人がはっきりと分かれると思う。それは河野太郎自身が嫌いな人をブロックするような性格があるからで、彼自身が嫌いな人に対しての態度を明確にしてしまうディスアドバンテージがあるので総理大臣で長続きする姿は想像できない。

 

小泉進次郎はもう小泉構文が有名になるぐらい中身がないとネットでいじられている状態で、毎回テレビで小泉構文を披露されると叩かれる理由になるだろう。この点安倍晋三は無意味な発言しかしないのに、いじられないぐらいの特徴がなかったのでうまくやったのだ。小泉進次郎の発言は特徴がありすぎるが、無意味という最悪のパターンだ。父親も無意味なことを言っても何だか勢いと小気味よさがあって、カリスマがあったが、息子にはまったく人を惹き付ける魅力がない。顔はイケメンだから一定の女性人気は出るかもしれない。

 

岸田文雄、この人が本命なんじゃないかと思う。とりわけ個性的なタイプでないし、調整型っぽいし、失言らしい失言もしない。福田康夫とかそっち系の人。顔も普通だし棘のある態度はとらなさそうだ。安倍晋三と近い無味無臭のタイプ。安倍後の自民っぽい。

 

野田聖子は論外というか、これもすごく嫌われるタイプだが、特別愛されるということもなさそうな議員だ。蓮舫のような華やかさがあって、嫌われるが愛されるというものでもない。ただキツそうな人だなあと思わせるので大衆の支持や期待をいっときでも得られることはないんじゃないか。本人は総理大臣になれると思っているかもだが。

 

下村博文自民党では珍しい一世議員で出世している人。加計学園から200万受け取ったというところから、持ち物検査に耐えられないんじゃなかろうか。マスメディアは安倍後も自民党を忖度するかは不透明で、下手すると集中砲火を浴びるだろうし、安倍晋三と違って見た目が優しそうじゃないので、あっという間に交代論が出そう。

 

おいおい政策について語らないのか、思うだろう?

 

残念なことにコロナ禍で経済政策で魅せることはほとんど不可能だ。安倍政権下で押さえつけられた人たちがずっと忖度するとは限らない状況下で、政策を見ることほど無意味なことはない。それに安倍政権でわかったことは国民は割と快不快で政治家を断罪する節があるので、イメージ作りができそうな候補者かどうかはすごく重要だ。バッシングを受けたときに経済成長や株高でしのげる可能性も低くなった。

 

今秋からの政権は、いかにしてマスメディアバッシングを回避しながらコロナ禍が終わるのを待つか、というようなことになる。民主党交代前夜と違って、政権交代が国を変えるという機運もないし。

 

こう考えると安倍政権のマネジメント力、システム設計力がいかに優れていたかがわかる。次の政権がマスコミ官僚をがっちり支配下におけるかどうかさえ不透明なのだから。安倍以前の一年ごとに総理が交代する時代に戻ることもありえる。

 

そんな時に、安倍晋三の設計能力とプロジェクトマネジメントの実力が再評価されるのかもしれない。

 

国民の利益になったのかどうかはわからんが。