日焼けで皮が剥けなければビーチに行った、夏の儀式を終えたという気がしなかった。8月の中旬に兵庫北部の豊岡まで200kmほどバイクを走らせ海に行ったが、曇りだったので海で遊んだという気持ちになれなかった。
それがしこりになっていて晴れ渡った日差しの強い日に入道雲を見ながらソーダを飲んで、浜辺で寝っ転がるのを夢想した。土日は混むだろうから平日がいいな、と思いながら迎えた8月最終日。よし行こう、行かねばと思い立った。
事前に調べていた浜の宮ビーチは大阪中心部から100kmも離れておらず施設もあるようだ。片道2時間程度でいい感じの海に行けるらしいと大いに期待した。その予感は正しかった。大阪も和歌山も快晴ですごい暑さの海日和だった。たどり着いたビーチは客がほとんどおらず、無料の駐車場もガラガラ、海の家はないが、道路の向こう側に飲食店がある。なかなかのロケーションだった。
海岸線はそれなりに長いが、子連れの家族が2-3組しかいない。遠浅の海で、潮が引いていたため中洲のようなところができていた。僕はそこで思う存分、日差しを浴びるのであった。浜辺の手前は貝殻がたくさんあったが、中洲の方はなにもないキレイな砂浜になっていた。自販機で買ったスポーツドリンクを飲みながらひたすら海を眺めて無心に日差しを浴びるのだ。これぞ夏の儀式。
僕より後にハゲたおじいさんが一人でやってきて泳ぎだす。大きいロッカーとシャワーのある建物の隣で一人で折りたたみ椅子に座り日光浴をしている若者もいる。お一人様で楽しんでいるのは僕一人でさえなかったのだ。
ちくしょう、最高じゃないか。とんでもなく晴れ渡る地平線を見る時、Android端末を使っていた頃は防水機能があってよかったなあと思い出す。iPhoneは海水に耐えるほどのものでもないのでさすがに持ち込まない。
たっぷり3時間以上もいただろうか。背中が日焼けで痛みを感じる頃に帰ることにした。それから3日4日経つと黒い皮がベリベリと剥け始める。これこれこれだよ、望んだのはコレだ。まったくもって生まれ変わるように新しい肌が見える。黒ずんだ古いものはめくれてなくなる。
皮膚科の先生によると、これは皮膚に良いわけじゃないから、日焼け止めを塗って皮膚に良い紫外線だけを取り入れた方がいいよ、と言われていた。しゃらくせえ、悪い紫外線も喰らう、良い紫外線も喰らう。両方を共に良いと感じ血肉に変える度量こそが日光浴には肝要だ。
そんなわけで夏の儀式は終わりもうした。