フロイドの狂気日記

時は流れ、曲も終わった。もっと何か言えたのに。

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クソブロガーのFX体験

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■外貨預金

きっかけは20年ぶりだとかの円安。ニュースはどこもかしこも円安で物価が上がることを危惧している。円で資産を持つと目減りしていくぞ、金融緩和は止めようがないから円高になることなんてないぞ、という煽りとも取れるような発言がネットで散見される。自分も知らず知らずに不安になった。

 

そこでまず外貨預金というのをやってみた。便利な時代になったもので、銀行アプリのタップを何度か繰り返せばドル預金ができる。ひとまず1万円程度をドルに変えてみた。何時間後には預けたドルの価値が1万30円ほどになった。まあこんなもんか、と思った1日後には9970円になったりして、ドル高で円資産がどんどん上がると思っていたけど、買ったレートから急速に上がるわけではないので拍子抜けしてしまった。1ドル110円の頃に外貨預金していれば別だが、今買ったところでだ。まさに靴磨きの少年。

 

■FX口座

色々調べると、外貨預金の手数料は高い。FX口座なら手数料は安く外貨も買えるよ、という事を知る。僕はFXについてほとんど知識がない。ギャンブルだ、と呼ばれることも知っていた。レバレッジ取引があり、ロスカットというものがあり、破産する人がいるというのも知っていた。僕はこう考えた。レバレッジ取引なんかしなけりゃいい。より簡単に外貨取引がやりやすい口座として利用することにした。まったくの無知であった。

 

FX口座を作るのもアプリで何度もタップを繰り返すだけであった。あっというまにFX口座と専用の画面が取得できた。恥ずかしいことに、レバレッジ取引というものを誤解していた。例えば金をFX口座に入れ、いくらかドルを買うときに、チェックボックスか何かがあって倍率を指定するようなものだと思っていた。

 

知らなかったことがある、最低参入単価とでも言うべきものだ。銀行や証券会社によるらしい。僕の口座は10000ドルが1枚というものだった。それを見落としていた。極めて重要なルールなのだが全く気にしないでいた。

 

10万円ほどFX口座に入れる。次にドルをミニマムで購入する。500ドルというのが最低単価のように見えた。10万円の証拠金のうち6.7万円ほどが引かれドルになった。どれだけ上下しても利益も損失もでないだろう。それが僕の認識だった。134.5Lというのが僕の建玉に記録される。

 

■無知の代償

数時間放置した。確認したときには恐ろしい事が起こっていた。1万円以上の含み損がでていた。約7万円ほどのドルなのに1万円のマイナスなどありえない。うろたえて調べてみた。そもそもFX取引をするためのミニマムな金額が1万ドルなのだ。

 

いやしかし、500ドルで購入できたではないか?

 

そこが問題だ。レバレッジという概念は知っていたが、それを強制的に適用するシステムとは知らなかった。厳密にはちゃんと購入時に規約とか色々説明しているのだが、そんなの無視したようなものだ。500ドル買えたのだから500ドルの取引である、という認識だったが、システム的には仮想的に1万ドル分買ったことになっている。そのため値動きの際の利益損失も1万ドルが基準である。実に16.5倍のレバレッジ取引をしていたことになった

 

■不安になり待つだけ

不幸にも僕がドルを買った日は値動きが激しい日だった。円安だ、今後は安くなる一方だと吹き込まれていた僕は、円安になる方にベットしていたわけなのだが。6/16は円高に振れていた。134円半ばだったレートは133円ほどになり、含み損は2万円近く。どうなるのかひたすら不安だった。ロスカットという言葉が思い出された。恥ずかしながら自分の銀行がどの基準でロスカットするのか調べてもいなかった。ネットで情報を探し回り、詳しい人に質問したりもした。ロスカットのシミュレーターがあると聞いて、試す。129円で追加証拠金を要求され、127円になると強制決済で6.7万円が消えるということだった。

 

自分はレバレッジ取引をしているとは思いもよらなかったが後の祭りだ。とにもかくにも赤字になった自分の建玉を見ながら円安になるのを待つだけであった。このまま円高に振れたらどうしようか。すでに132円ほどになり、含み損は3万円。1日で天井から2円以上円高になったのだ。127円までドルが下落する可能性も十分ではないか。損切りという言葉も思い出した。株にせよ為替にせよ強い人は損切りがうまいという。

今なら授業料3万円で済むのでは?

だとしてももう少しダメージを減らせないか?

迷っている間に時間ばかりが過ぎていく。

 

夜眠れず為替のチャートを見つめる。証拠金がみるみる減っていく。131.5円までドルが売られる。132円ラインでずっともみ合う。ネットのコメントを漁る。待っていれば必ず円安になるという人もいる。だとしても一旦127円を下回ってしまえば強制決済後にどれだけ円安になっても自分には意味がないのだ。

 

6/17に日銀黒田総裁の会見があると聞く。そのタイミングで円安になるという人もいた。予想を裏切り利上げをしてあっという間に円高になる可能性を指摘する人もいた。未来のことなどわからないのだからギャンブルでしかない。黒田総裁の会見まで損切りはしないことにした。

 

■日銀が10秒でやってくれました

仕事の時間に起きると、円安が多少進み、含み損は2万円ほど。とにかく日銀の方針を待つことにした。通常11:30-12:30の間に方針が発表されるらしい。自分は在宅ワークなので、モニタの右側にFXのウィンドウとチャートを出しっぱなしにしていた。

 

11:30になるとネットのコメントが慌ただしくなる。日銀の方針が利上げでなく、大方の予想通り注視と出た瞬間に、あっという間に円安に振れだした。自分の口座の建玉の含み損がどんどん少なくなりマイナス1000円~3000円を往復し始めた。

 

ここで授業料として数千円を払ってしまってもいいんじゃないか?

もうちょっとまてばプラスに転じるはずだ……

そんな考えに右往左往するうちに、ついに赤から緑に変わった

損失が利益に転じたのだ

 

僕は昨晩から放されたい一心だった

画面に用意していた決済ボタンを連打し、ドルを売っぱらった

260円のプラスになった

その昼の天井付近のレートであった

ポジションはなくなり不安からは開放された

 

■おわりに

これを書いている最中のレートは135.4円ほど

もし僕が昼に売らなければ1万円近くも含み益が出ていることになる

だがそんなのどうやってわかるというのか

ロスカットという恐怖がある以上、じっくり待つということができない

 

生粋のギャンブラーなら132円のうちにドルを買って135円で売れば3万円の利益を得ることもできただろう。しかし逆に振れて10万以上消える可能性だってある。

 

ポジション解消後、FX口座から通常口座に金を戻した。

次に始めるときは、じっくり待てるだけの種銭、レバレッジが1倍近くに下げられるほどの証拠金を持ってからだと思った。ロスカットの恐怖には耐えかねる。種銭があればあるほどロスカットの確率が下がる(買う枚数を増やしすぎてもいけない)たかだか10万円程度で参入するのは無謀だった。

 

24時間の不安の報酬が260円というのはいささか少ないが、重要なものも手に入れた。

経験と、初取引での勝利だ。

初勝利

惨めなトラウマにならなかったことは救いだ。