プライベートでとてもいいことが一つ。仕事がうまくいっているということ。今までプログラマとして契約してきた仕事でたくさん褒められたことはなかった。しかし今の仕事でマネジメントに転向することになり、営業から感謝のメールをもらった。
現場から吸収が早く要件定義がうまくいったという評価をもらった。今の仕事は開発会社との折衝でコーディングはゼロだ。僕を雇っている会社の企画部からのふわっとした要求から必要な作業をすべて洗って、開発会社に書類やミーティングで伝える。この仕事がかなりうまくいった。
自分の能力の中で突出した部分に、文章の組み立てがあると思う。もちろん他人との比較ではなく、自分の中で、という意味だ。コーディングよりも日本語文章を組み立てることが得意だとは思っていたが、これがリモートワークでのチャットベースの働き方と完全にマッチしている。コミュニケーション不足になるところを、わかりやすい文章で証拠を残しつつ過不足なく通達する、というのにベストマッチしている。
もちろん開発経験のあるおかげで、上位の人たちが何をしたいのか、というのを理解できるし、それに必要なシステム要件も想像がつく。そして、自分はコードを書いたりDB設計をしたりしなくてもいいのだ。率直に言って最高だ。
今までプログラミングは常に手早く実装しなければ評価されなかったのだが、僕にはそのスピードがあまりなかった。ところが折衝になった途端、要望をシステムに変換して、それを日本語にし直す作業というのが、瞬時にできることに気づいた。
今までと働き方があまり変わっておらず、何だったら1日の労働時間の半分くらいは寝てるか、ipadでドラクエ5している。昔から時折、超スピードでコードを書く逸材に会うが、多分こういう気持ちだったんだろうな、と思った。担当者によるとマネジメントのポジションは不足しているらしい。個人的には常に成果を要求され続けるプログラマより段取りと要件定義さえ終われば空き時間がたくさん出てくる折衝側のが楽だ。
今までは段取り後の下流でコードを書いて四苦八苦していたんだけど、上流の洗い出し作業とパワポエクセルだけで、感謝されて金ももらえて、後は寝るだけってどうなんだ。金儲け考える人達の主張にシステムで必要なことを想定して日本語にするだけで、複雑なテストや実装、設定ファイルとのにらめっこもいらない。
それでとても飲み込みが早くて助かる、お力ふるってくれってありがとうございます、なんて言われる。いや何したって、日本語を話しているだけだが?
ネットでもマネージャーの大変さはことさらに主張され、マネジメントしたくないプログラマが山程いる。今まで見てきた人たちも死んだ目をしているケースがけっこうあった。だがやってみると、死にそうなのはお前らの要件定義が甘すぎるだけなんじゃないか、と思った。経営側と開発との橋渡しの際にありとあらゆる不測の事態を想定して、経営側に質問、根拠、納期についてきちっと相談した上で、できるできないを判断し、権力者に条件を飲ませる作業がそんなに難しいのかね。
むしろ変なこだわりを持たずに金勘定で脳みそを回している連中のほうが説得しやすいように思えるのだが。プログラマ上がりのPMはこのあたりの説得スキルが足りてないだけではなかったか。納期ギリギリで詰め込んでくる、というお決まりの話はよく聞くが、自分がやってみると、技術の知らない経営陣にちゃんとお話すれば予算増やしたり、機能を削る相談が始まったりで、悪いことはないと思った。
だいたいの経営者はお金を回しているんだから、変に失敗続きになるよりも確実な納品運営を求めるはずだ。つまり納期を無理やり設定した、ということになる前に無理な理由と金勘定の説得フェーズがあったはずなのだ。死にかけてるチームは、できぬやれぬの一点張りでしびれを切らした経営陣から押し付けられる形になっていたのではないか。そんなふうなことを思ったのだった。
楽しみにしてくれよな!