2年ほど前にラーメンズの小林賢太郎が炎上したときに、松本人志についても少し触れていた。
松本人志だって北野武だって、という人がいるかも知れないが、彼らは権威を与えられる立場になろうとしなかった。北野武はもう晩年の人生であり、まだ芸人だけれど、正直言うと逃げ切った世代だと思う。実際に昔の監督のスキャンダルとかが最近になって露見してバッシングを受けたケースは多々ある。時代が変わる前に権威を得た最後の世代ってところではないでしょうか。なので今後、権威的な地位の仕事しようとすると、彼らと言えどタダでは済まないと思う。
吉本が大阪万博などで公的な仕事をしているさなか、文春のスキャンダルで強制引退に追いやられそうになっている。松本人志もアングラネタ、シモネタ、際どいネタが多いし、性的なことはことさら大っぴらにやってきて、本人もたくさん音源なり文書なりを残していたので、今更叩かれることなんてないかと思っていた。この世代の狂いっぷりは時代背景もあるので、許されるのかと。
しかしそうはならなかった。よく指摘されることにジャニーズ問題が表面化してきたから、というのがある。そのとおりだと思う。ジャーニーがホモでショタ食いなんてのは自分が10代のことから言われていたし、公然の秘密だった。それが死ぬまで権力を握っていたんだから、問題視されるなんて考えてなかった。しかし表面化した。
あれほどの巨大権力組織が倒れて、そして松本人志もやられた。松本人志はバブル世代なのだが、このあたりの無茶苦茶な人たちは裁かれることなく逃げ切るんだと何となく思っていた。「彼らといえどただでは済まない」と書いていても、心の何処かでは誰も彼らの権力に逆らえないのではないかと。実際に文春以外は指摘しようともしなかったわけで。
Me too的ムーブメントは日本では流行らないとも思っていた。アメリカ人ほどモノをはっきりと言わないし。だが着実に根付き始めている。2017年のワイスタイン告発から10年経たず、権力勾配にものをいわせた何らかの加害を男女ともに告発して関係者がバッシングを受けるようになった。
今後この勢いは衰えないし、平凡な人々の告発手段があるという前提で世の中が再構築されるんだろう。全くすごい時代になった。今後表に出る人物は潔白さも問われるようになるわけだ。白馬の王子様レベルの完璧超人だけが目立つようになるんだろうか。
次の10年、どうなっているのか。社会がちょっとわからなくなった。