Amazon prime dayでkindle本がたくさん割引されていてあれもこれもと買ってしまった。その中で「ファスト&スロー」「予想通りに不合理」を読み終えた。
「ファスト&スロー」の方で言われている、システム1(反射)とシステム2(熟慮)という考え方が改めて参考になった。
システム1は反射的に決定づけてしまう思考についてで、父と母のどちらの背が高いかだとか、1万円札と5千円札のどちらが大きいか、みたいな即時に簡単に判断することである。
システム2は熟慮のことを言って、234*272の計算だとか、著作権を守る契約書の書き方だとか、とにかく即興でわからないので、一呼吸置いてちゃんと考える必要がある事柄を判断する思考のことをいう。
「ファスト&スロー」では人間がいかにシステム1で考えてしまうか、本来ならシステム2で慎重に判断すべきことも反射的に考えてしまうかの実験を色々と行っている。なお、これらの本に書かれている実験は「再現性が疑われている」ので要注意だ。でっち上げと言えるかどうは素人の僕には判断できないが、社会学だとか心理学だとかの実験が信頼性に足るかどうかは疑ってかからないといけないということのようだ。
この本はとても長いが、実験の再現性が疑われていることは事前に知っていたので、ほとんど読み飛ばしてOKだ。なので割と早く読み終えることができた。大事なのは実験の後の結論部分を読んで考え方の幅を広げることなんだろう。
紹介されているプロスペクト理論は、同じ条件でも感情的な違いがあることを簡潔に説明していて気に入った。この理論は例えば、
太郎くんと花子さんは両方とも今日500ドル持っている。
太郎くんは昨日800ドル持っていたが競馬で300ドル負けていた。
花子さんは昨日200ドル持っていて競馬で300ドル勝った。
今日、両者は同じ金額を持っているが同じ気持ちでいるだろうか?
ようするに全く同じ500ドルの所持金でも人間の感情は同じではない。それらを様々な角度から比較する例が書かれてある。その辺りはほおーっと納得できることが多々あった。鵜呑みにしない程度に読むのがよろしいだろう。「予想通りに不合理」も人間が不合理な決断をしてしまうケースと条件が色々と書かれていて、これまた楽しい本だ。
これらの本を読んで、得るものは要するに、本来熟慮しないといけない事柄を反射的に結論を出してやしないか?ということだ。そこを理解すると、生きていく上で問題解決を熟慮の末判断できるようになるかもしれない。
これを読むとはてブのブコメがいかにシステム1に支配されているかわかるし、Twitterの政治ニュースコメントなどもシステム1で書き込んだんだな、なんて一歩引いて考えることができる。早計に判断したり振り回されたりすることがなくなるかもしれない。