And you run and you run to catch up with the sun but it's sinking
Racing around to come up behind you again
PINK FLOYDのアルバム「狂気」から世界で一番好きな曲の一つ「TIME」の歌詞だ。このアルバムを聴いたのは高校生の頃だった。その頃にはとっくにバンド活動の終盤で、昔の曲をしながら巨大なライブツアーであったり、ソロ活動をしていた。解散こそしていないが全盛期のメンバーはとっくの昔に不和で抜けていたし、ピンク・フロイドとしては晩年であったと思う。それから15年以上経ってメンバーは2人が亡くなり、ロジャー・ウォーターズが抜けたあとリーダーであったデヴィッド・ギルモアはついにフロイドは終わったと告げた。大ブレイク前に薬物依存症で抜けて最初に亡くなったシド・バレットはともかく、リック・ライトがいなければもはやフロイドではないというのがギルモアの見解だ。
今この歌詞を引用したくなったのは、計画性のない人は損ばかりするんだな、と思ったからだ。そういう風に世の中はできている。僕は昔から計画性がない。というか計画通りに物事を進めるのが嫌いなのだ。時間単位でどこに行き、どういう風に過ごすかなどを徹底して調べる人を尊敬するほどだ。計画通りに行ったら急遽虚しくなったりしないのだろうか。だが世の中は計画通りに物事を進めたい人がたくさんいて、その場その場でことを進める人は損をするようになっている。それに計画の運用が上手い人はさらに得をする。
飛行機だとか新幹線には早期予約があり、いつどこに旅行に行くかをちゃんと決め、その上で今までの貯金をしていれば予め支払うことができ、大幅な値引きを受けることで節約になるというわけである。会社からしても早くから席が埋まればそれだけ売上予測も立つのだから、将来に向けての準備もし安いというわけだ。
その他、会社でも四半期ごとの計画をちゃんと立ててその通りに事を進められれば間違いなく出世するだろうし、計画性と仕事ぶりで人は評価される。行き当たりばったりな奴らというのは、すなわち面倒事を引き起こす要因に見られるし、突発的なトラブルで人でがかかれば、費用もかさむ。そんなわけで仕事でもプライベートでも計画性というのは非常に評価される。
僕は計画通りに物事を進めるのが苦手な上に好きでもない。国内旅行だって夕方からバイクに跨がり、夜のうちに行ける所まで行って安ホテルを予約、その次の日に適当に海に出かけるとかをしている。なので休みがあっても旅行に使った時間は少ないなんてこともがよくある。そのもそも計画通りに行くことに快感を覚えるどころか虚しさを覚える。まるでプログラミング通りに生かされているように思ってしまうタイプなわけで、そもそもが計画に向いてないのだ。
だが仕事でも何かにチャレンジするときも計画できる人は後ろ倒しにならない。無計画だと、今月はこれだけできたから来月はそれはそれで考えようみたいになる。僕は後ろを振り返った時に計画性のなさ故にたどり着く時間が遅かったな、と思う時がある。
計画的に勉強していたらフリーランスになるのももうちょっと早めれたが、割とダラダラ生きてきたので、独立もかなり後ろだった。それにイギリスの語学留学も決めてから1年以上遅れて旅立った。去年の仕事が中途半端に途切れたので思い立ってロンドンとスコットランドに行って、それはその後なるべく早くIELTSのテストを受けるぞ、という決意のためだったが未だに受けていない。来月には受けるが。
そんなわけで計画は相当後ろ倒しになっている。ただ僕の性格からして今が最速ではあった。仕方がなかったといえるかもしれない。計画性とそれを遂行するだけけのバイタリティというものが欠けているのだから。やるぞ、となったときにWIRED INできる人間であれば、もっともっとたくさんの体験ができたのだろうな、と思う。
なぜこんなことを書くかというと、10代20代がとうに過ぎ去り、そうして30代ももはや3分の1というとこにきて、加齢の恐ろしい早さを日に日に強く感じ始めているからなのだ。このブログをプロ化して記事をたくさん書き始めて。2.5年ほど経った。色々あったがようやっと人生に向き合っているんだなあと感じ始めたのだ。
記事タイトルの前の歌詞はこうだ。
then one day you find ten years have got behind you
No one told you when to run, you missed the starting gunある日、お前は10年が過ぎ去ったことを知る。
誰も走り出す時を教えてくれなかった。
お前は始まりの銃声を聞き逃したんだ!
いかにも普遍的で素晴らしい歌詞じゃないか。僕はこれを高校生の頃には知っていたというのに、その意味をリアリティを持って味わっているのだ。
嫌になるね。