フロイドの狂気日記

時は流れ、曲も終わった。もっと何か言えたのに。

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多人種国家の維持なんて不可能だ

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昨今のアメリカの暴動を見ると、これ多人種国家なんていずれ破綻するような構造なんじゃないかと思った。アメリカの歴史250年ほどでうまくいっていたのは、事実上白人が多数派で完全支配権を持った時代が長かったから何だと思う。

 

肌の色というのは強烈なバイアスがかかるらしい。様々な国からの移民がいてもドイツ系、イギリス系、ユダヤ系などの白人達が主流の間はうまくやっていたにもかかわらず、複数の肌の色を対等に扱い始めたところ、衝突が絶えなくなった。

 

ここまでわかりやすい暴動が起こるのもそのような色の差別のおかげだ。もっといえば視覚的差別なんだろうと思う。日本にも少数の移民がいるが、大半は東アジア系で見た目も似ているから、わかりやすい差別が起きない。というか日本人かどうかの判断がパッと見でわからない。

 

見た目が違うと、同じ行動に対するリアクションがより複雑になる。

 

警察に抵抗してテザー銃を奪うということを日本で日本人がやった場合、世間はよくぞ殺したというだろう。口にしないかもしれないが、心の中ではそんな危険な犯罪者が死んで良かったと思うだろう。偽札を作ったのが日本人だったらどうだろう。警察は非難されるし、同情も集まるだろうけど、厄介払いができて良かったと思う人も多かろう。これが黒人と白人の関係だと差別議論が始まる。黒人だから殺された可能性が十分に説得力がある社会では、そのような議論は不可避だろう。

 

犯罪するやつが悪いんじゃん、というシンプルな理由付けができなくなる。そうすると、差別主義がはびこり搾取されているから犯罪者になるんだ、というような理屈ができるようになって、単純な議論には至らない。

 

その結果が今のアメリカの状態なんだろう。ぶっちゃけ肌の色が違う人々が集まる国家を無難に取りまとめるのはどのような為政者にもできないように思える。

 

日本はどうか?

 

99%が日本生まれの日本人だから、貧困状態も犯罪者になるのも自己責任、もしくはせいぜい家族の責任と言われる。イギリスやアメリカなんかだと移民が仕事や機会を奪うと主張する人は珍しくもないが、日本の場合そのような言い訳は不可能だ。生活の責任の全ては自己に帰結し、そして自殺に追いやられる。これはこれでどうなんだ、と思うがそこに差別と搾取というものを盾にできないが故の孤独と安定がある。

 

誰のせいにもできないから、暴動なんて起こりっこない。黒人は白人の差別を盾にできるから暴動も起こせる。日本で貧困由来の暴動を起こせば、中流層も下層労働者も反発するだろう。真面目に働いている人の足を引っ張りやがって、となるに違いない。

 

これが多人種国家になると、正当な反差別の訴えに乗じて略奪をする奴ら、標的にならないように略奪を批判できないマイノリティセレブ、やたら舵取りが難しくなった政治家、特権階級でもないのに略奪の標的になる小売と、まあ誰にとっても地獄。暴動が収まれば元の木阿弥だろう。

 

批判はあるだろうが、ウイグル地域で大暴動にならないのも漢民族による徹底した支配があるからだろうし、ミャンマーイスラム教徒が勢力を伸ばせないのもロヒンギャが弾圧されているからだ。

 

マイノリティを抑圧すると人道的問題が出てくるが、その分安定する。そしていつしか属性が薄まっていって、日本における沖縄とかアイヌぐらいの存在感になっていくだろう。アジア圏は残忍だが、長期的視野に立てばマジョリティにとってこれほど暮らしやすいものもない。

 

欧米は一応のところ、マイノリティの抑圧を辞めた。人道主義の観点か融和を目指した。僕の考えでは移民が役に立つ以上の構造的な厄災をもたらすと思う。誰が悪いというわけではないが、ヨーロッパもアメリカが黄金期以上の輝きを持つことはないと思っている。

 

ジョブズセルゲイ・ブリンだって移民じゃないか、と言う人もいようが、彼らは結果として格差を広げることに寄与しているし、最強国家アメリカの補助よりも、むしろ独立国家レベルの企業を出現させただけのように見える。彼らが中国でビジネスをしたいからこそ、アメリカが彼らに気を使ってきたところもあり、GAFAが栄えてもアメリカの衰退は避けられそうにない。ここ数年でようやっとソフトパワーを圧力へと使い始めたが、これも彼らが望んでいることではないし、中国でもアメリカでもどこでも儲けたいというだけだから、いつ立場がひっくり返るかはわからない。

 

つまり成功した移民と貧困な移民の両方がアメリカの崩壊を手助けしているようなもんで、構造的に分断され続けるように思う。一方で力による結合を徹底している中国は、恐らく分断しない。彼らは分断の目を徹底して摘んでいるし、国家と市民の間の暴力格差が大きすぎて、市民側が国家を破壊することは不可能そうだ。

 

アメリカは軍による暴動の鎮圧を選ばなかったので、暴動の被害を受ける一般市民は内心フラストレーションをため続けるだろう。暴動の鎮圧は人道違反とでも言うような空気感さえあるし、日本人から見れば政府も鎮圧せず、マスコミも暴動を辞めるように言わず、セレブは略奪が仕方ないと言わんばかりに口を噤んでいるわけで、率直に言ってうらやましくもないし住みたくもない。簡潔に言って人道がない国家状況だ。

 

こんな国になるリスクを背負ってまで多人種国家を勧めるのは正気ではないし、だからこそ日本で良かったですね、と噛み締めている。奴隷輸入の歴史がなくて、移民嫌いの国家間で良かったね。コロナのおかげで移民の増加も減るだろうことは明白だ。それは総合的に見ていいことなんだろうな、と思っている。

 

悲しいことに2020年は日本人にとって最も住みやすいのは日本だ、という事実を突きつけた年だった。