朝起きて喫茶店に行くか、マクドに行くか、とにかくモーニングを食べるのが日課になっている。外に出るとこれでもかというぐらい秋晴れで涼しい日だった。こういう日光がよくあたる空の青い日はどこかに行きたいと思ってしまう。とにかくもったいない気がする。泊まりがけで行く気がないときは、日帰りで行ける範囲で考えるとだいたい奈良か京都になる。和歌山は遠すぎるし、滋賀は南部だと旅した気がしないしなあ。
Google Mapを眺めているとそう言えば金閣寺なんて何年も見てないなあなんて思って行くことにした。で大阪から阪急電車に乗って行くのだが、桂駅かどこかで分岐するのだが、そこで乗り換えるのを間違えて河原町駅まで行ってしまった。もちろん戻ることはできたのだが、何だか面倒くさくなってここいらで見どころを探すことにした。
色々あるけれど、京都文化美術館が近くにあると知ってそこに向かってぶらぶら歩こうと思った。その前に腹ごしらえで河原町駅の路地に入ると、風俗店の前でおじさんが手持ち無沙汰な感じで立っているとこあたりの、目の前の和風の店に入った。あのいかにも京都な建物の中に風俗店がいくつかあったりするのは資本主義だなあと思った。
入った店では名物の利久辨當が2400円もして、弁当を辨當と書くあたり格式だなあと感じた。内装はいかにも和テイストで、客層もおじいさんおばあさんに中年女性ばかりで、それでも平日のランチタイムにしてはなかなかの客入りだった。利久辨當は白味噌仕立ての豆腐汁だがこれの具材を有料で変更できるという。こういう観光でくると財布の紐がゆるむのが癖になっている。たくさんのメニューがかかげられていたが、おとしいもというのが気になったのでそれに変えてもらう。するとどうでしょう、フワフワの芋の混ぜたような塊が入っていて確かに美味かったのだが、それの料金がなんと600円プラスというもので、税込み3300円も払うことになった。まあうまいんだけど、むう、と微妙な気分になった。鯛なんかもあったんだけど、もっと高いんだろうなあ。
そこを出てて美術館に歩いていく。大通りはあんまり京都っぽくない。ただの自動車が走りやすいコンクリの道だ。MOVIX京都があるあたりの商店街の中は縦横に広くて全然人通りもいなくて快適なんだけど、中国人がいなくなった京都の店は悲鳴をあげているんだろう。
美術館の建物は大正時代によく見るようなレンガの洋風の建物で文明開化な気分になる。前田コーヒーで一服した後、さてどうするか、美術館を見るか、と看板を見ると舞妓特集が始まったばかりだという。チケットを見ると1500円。ここらでもう、この生臭坊主都市めが、と吐き捨てたくなったのだが、イギリスの美術館だって特別展示は高かったし、仕方ないと思い直して、それでも1500円か、と土産物屋をウロウロする。
ここを入らないと、入らなかったことを公開しそうなのでチケットを買った。結論から言うと1500円の価値はあったんじゃないだろうか。期待した以上のボリュームで、舞妓が踊っている白黒の映像なんかもあって、貴重な映像に関心した。いろんな画家が書いた舞妓の絵がたくさん並べられている。それぞれの解説を読むと、1900年代前半生まれで、戦後死んだ画家が多い。画家の中には80年代とかあるいは最近まで生きていた人なんかもいて、戦前の空気と発展した日本の空気を比較してみてどういうふうに思ったのだろうかみたいなことが気になった。客も案外いるもので、ほとんど年寄りか、僕の20年後みたいな独身男性っぽい人がいて、その人が土産物屋のおばさんに何か必死に話しかけている姿を見ると、ああもうっ!と何だか妙な気分になった。常設展示の方は、なんとも微妙な内容だったけれど、さすが京都の歴史を解説する映像とかは壮大なものを感じた。
美術館を出て、まだ日が高いなあなんて思って、そこからGoogle Mapで見ると近くに二条城があるという。行ったかどうかも定かではないが、とりあえず歩いて向かう。日本の城って似たようなデザインだから、かつて行ったんじゃないか、と思ったけれども、城の外にチケット販売機や観光バスの駐車場があるあたりで、これは初めてだぞ、とわかり期待する。将軍とか天皇が住んでいた二の丸御殿に入るのにチケットを買う必要があって、それが1000円。はぁ〜管理費!仕方がない。お城の管理もただではない。
とはいえ二条城内部は中々見応えがある。遠侍の各部屋のトラが描かれたふすまなど、おっ、と思わせる。大広間には将軍やらの人形が置かれて、かつての会議の様子みたいなのがわかるようになっている。見通しのいい部屋ってすごくいい。60畳もある部屋でゴロゴロしながら暮らしてえと思った。
世界遺産だけあって庭園もキレイだし、今まで来たことなかったのが意外に思えた。あいにく改装工事しているところがあって見れない場所も多々あったのだが、全体的に良いものだと思った。とはいえこの日たくさんお金を使った。泊まりの旅行よりも大したものではないが、そのうち文化遺産にお目にかかることもできなくなるんじゃないかというぐらいの資本主義だと思いました。まる。