フロイドの狂気日記

時は流れ、曲も終わった。もっと何か言えたのに。

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映画「ドント・ルック・アップ」を見る

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Netflix契約しているんだから見てみることにした

大体ディカプリオが出てる映画はおもしろいというか、極端に外れがない印象だ

そんなわけで見てみたが、やっぱりそれなりにおもしろかった

以下ネタバレ全開

 

おもしろいと思った点に、いろんな社会風刺を詰め込んでいて、社会の分断というのを彗星の衝突が事実派(look up)とフェイク派(don't look up)で表現しているのが良かった

コロナ禍における社会だから理解しやすい

トランプ政権を経由したからこそ表現しやすくなった作品だと思う

今まではそれこそ「インディペンデンス・デイ」みたいなアメリカが世界の問題を解決できるんだ、的な作品になりがちだったが、「ドント・ルック・アップ」ではミッションは失敗して全滅している

セリフを途中でぶった切って別のシーンに移るのも演出が効いているなあと思った

真面目な科学者のディカプリオをメディア出演以降堕落させていくのもいい

頭の悪そうなブロンドのテレビキャスターを実は修士号持ち多言語習得済みの中年としたのもいい

頭の悪い感じのTikTok利用やメッセンジャーの使い方、クソみたいな縁故主義アルゴリズムとデータ至上主義で面白みのないCEOと拝金主義の表現が良い

拝金主義でありませんよ、という態度でありながら最高に拝金主義である最近の成功者を露悪的に描いてて、わかるわあーっとなる

アメリカによくあるバカみたいな文化をちゃんと理解した上で見せている

 

とは言え悪いところもたくさんある映画だった

 

アリアナ・グランデとラッパー

2人をハリウッドセレブの代表としてだしたのはつまらない

芸能セレブ批判っぽいけど、アリアナを出したからか皮肉は控えめ

30手前のアリアナがディカプリオに「おっさんは引っ込んでろ」と言わせるのはいただけない、原文は見てないから翻訳がダメだったのかもしれない

どちらにせよアリアナとその恋人の役割、最後の方で歌わせる演出は蛇足そのもの

 

■けっきょくは家族愛

CEOに「お前は一人で死ぬ」と言わせた後、浮気したディカプリオが家族のもとに帰っていくんだけど、いつもどおり最後は家族愛、というものに落ち着いた

まあ落とし所としては妥当なんだけど、特にひねりはない

 

アメリカ以外の国の過小評価

迫りくる彗星の破壊作戦を中国やロシア、インドが協力して行うのをあっさり失敗させている

全般的にアメリカにフォーカスしている映画だから仕方ないんだけど、現実社会だとアメリカ以外の協力プレイが成功するんじゃないかと思う

コロナにおいてもアメリカがアホほど死者だしていて東アジアがそうでもなかったりすると、アメリカが解決に失敗したから世界に滅ぶっていうストーリーはアメリカ人のつまらないプライドが入ってそうな脚本でため息がでた

ネットの考察では海外の協力プレイをアメリカが邪魔しているという解釈があったんだけど、だとしてもねえ、って感じ

 

■まとめ

薬物まみれのアメリカ人、クソみたいな若者文化、犠牲になっている人々、盗みをスルーする店員、ハッシュタグで攻撃しあっている人々、強欲な金持ち、古い世代の爺さんによる黒人とLGBT批判、脳天気なマスコミ、貧しい若者、言葉ではなくデータ優先のテック企業CEO、アメリカの国際社会からの離脱、老人金持ちだけが地球を脱出する展開、科学に対するフェイク

 

とまあ現代問題の皮肉と諦めがてんこ盛りだった

しかしながら解決策は提示されておらず、まあだから隕石で全滅するしかないわなとなる

この映画見ると、現代の問題ってどうにもならんよなと感じるし

ハリウッドの有名監督や俳優でもスキッと解決を提示するなんて無理なんだなってわかる

それでも興味深い作品だと思う